保険金の請求もチャットボットとのやりとりの後、自動的に支払いの手続きが実行される。
今後はこのように取引の実行や処理の代行をするチャットボットが主流となりそうだ。
【RPA】
AIとの組み合わせで定型業務の枠を超える
チャットボットは対顧客だけでなく、社内業務へ活用されるなど用途が広がる。「RPA(Robotic Process Automation)」も今後、AIと組み合わせる方向に進化していく。ホワイトカラー業務の自動化の流れはさらに急になる。
現在、RPAが使われているのは、定型業務、反復業務が中心だが、これから先は、「OCR(光学式文字読み取り装置)や自然言語処理と組み合わせ、非定型業務にもRPAが使われるようになっていく」と城田氏はみる。
AIとの組み合わせによって、RPAはさらに進化を遂げそうだ。今は人間がルールを作り、意思決定を行い、それに従ってRPAが作業を行うかたちだが、RPAが学習してルールを作るようになり、意思決定に必要な情報の収集を自動的に行うことも、いずれ可能になるとみられる。
AIの活躍の場はますます広がり、新たなチャンスや競争が生まれていくのは間違いない。
用語解説
[機械学習]
機械学習はAIにおける一分野であり、核となる技術。明示的にプログラミングされることなく、コンピューター自身が大量のデータから、知識やルールを獲得していく手法を指す。音声アシスタントデバイスや自動運転など、多くは機械学習を使っている。
原型は1960年代には登場していたが、大量の学習データとハードの性能向上で、ここにきて急速に普及している。今後も機械学習フレームワークを高速、低消費電力で実行するチップの登場が見込まれ、弾みがつきそうである。
[ディープラーニング]
機械学習の中でも、特に注目される手法。「深層学習」とも呼ばれる。人間の脳の神経回路を模したニューラルネットワークを、コンピューターに実装したものである。
大量のデータを用意すれば、タスクの実行に必要となる特徴を、コンピューターが自動的に抽出。画像や音声の認識精度が飛躍的に高まった。高度化のため、専用のプロセッサーの開発などが進む。