「平等」と「公平」を区別する

「全員」と「全体」を考えることと同時に大切なのは、「平等」と「公平」を区別することです。

 熊本地震で避難所の運営支援を始めたとき、こんなことがありました。支援物資が届いたので、すべての方に「平等」であるよう配慮しながら、支援職員が体育館の真ん中に物資を置きました。そして物資を並べ終わったところで、避難されているみなさんに自主的に取りにきていただきました。

 ところが、体が思うように動かず物資を取りに行けない高齢者や、赤ちゃんを抱っこしていて物資を取りに行けないお母さんがいることに、ある女性が気づいたのです。

 みんな「平等」になるように、よかれと思って真ん中に置いたものの、そこから先は強者優位の競争社会になってしまっていたのです。必要だったのは「弱者への配慮」であり、「平等」ではなく「公平」だったのです。職員には決して悪意があったわけではありません。もう一歩の配慮が足りなかったのです。

 何事も完璧は難しいかもしれませんが、スピーディーに全体をよくすると同時に、「公平」に配慮して「公正」の実現を意識することが大切なのです。

次回は、規制することのメリット・デメリットについてお伝えします。12/11公開予定です)