「改正入管法」が成立。これは「安保法制」など安倍政権のこれまでの法案成立過程と大きく異なっている
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 単純労働分野での外国人労働者の受け入れを認める「改正出入国管理法」が、参院本会議で自民、公明両党と日本維新の会などの賛成多数で可決した。今国会での、「改正入管法」の審議時間は、衆参両院の法務委員会で合計38時間にとどまった。例えば「安全保障法制」の時に衆参両院で合計216時間の審議を行ったことなどと比べると、安倍政権下の重要法案の審議の中でも、非常に短い審議時間だった。

「改正入管法」は、日本の入国管理政策を大転換させるだけでなく、社会そのものを大きく変える可能性があり、その重要性は「安保法制」と変わらない。だが、安倍晋三政権は、新しい制度の詳細な設計は、関係省庁で法律成立後に行い、国会審議が必要ない「政省令」として定めるという。

安倍政権の重要法案
「無修正」成立は野党が招いてきた

 この連載では、安倍政権の重要法案の審議について、主に野党側の姿勢を批判してきた。安倍首相「一強」の政権運営が批判されているが、それは現在の野党側の政治家が若手だった頃に中心となって推進してきた、1990-2000年代の政治・行政改革による首相官邸機能強化の成果だからだ。(本連載第115回(上)・P.3)。

 英国流の議会制民主主義「交代可能な独裁」の実現を望んだのは、野党側である。あえて皮肉たっぷりにいえば、それを安倍首相が実行していることは、批判すべきことではなく、自らの成果と誇るべきである。野党側は、安倍首相が在任中になにを決めようとも、選挙に勝って政権を奪い、すべてひっくり返せばいい。そういう制度設計をしたのは、当時、改革に消極的だった自民党よりも、野党側だったのだ(第115回(上)・P.2)。

 一方、この連載では安倍政権の重要法案が、さまざまな問題を抱えたまま「無修正」で成立してしまうことも問題だと批判してきた(第189回)。例えば、「テロ等準備罪(共謀罪)法」の審議では、この法律で処罰対象となる277の犯罪が決められたが、そのうち「テロに関する罪」は110しかなかった。国民の大多数が、これに不安を思っていたのは明らかだった。だが、それらは1つも削られることがなく、法律は成立してしまった(第160回)。