開成・麻布・筑波大駒場・渋谷幕張…。東京・吉祥寺の進学塾VAMOSは、「入塾テストなし・先着順」で生徒を選抜しないのに有名難関校に続々合格させると話題の塾だ。男女別カリキュラムを取り入れたロジカルで科学的な学習法は、特にエリート父親層から圧倒的な支持を集めている。本連載では、VAMOSの代表である富永雄輔氏の最新刊『男の子の学力の伸ばし方』(ダイヤモンド社)の内容から、子どもの計画・理解・反復・習慣のプロセスを体系化した「男の子の特性」に基づく学習法をお伝えしていく。

子どもの「今やろうと思っていたのに」を回避して、勉強に誘導する方法

親は上手に「ウォーミングアップ」の手伝いをする

 男の子の「やる気スイッチ」を探してイライラしても仕方ありません。なにしろ、勉強するのは本人なのですから。いつまでもグズグズしている男の子を見れば、「早く勉強しなさい」と言いたくなるでしょう。しかし、それを言えば、たいていこう返ってきます。

 「今やろうと思っていたのに、言われたらやる気がなくなった」

 だから、「勉強しなさい」は極力呑み込んで、子どもを勉強へと誘導する仕組みをつくってしまいましょう。

 たとえば、机の上に5分くらいで解けるごく簡単な教材を並べておきます。簡単なので子どもはそれに手を伸ばし、解いているうちにエンジンがかかってきます。

 あるいは、本人が好きな科目からやらせるのもいいでしょう。男の子は、エンジンがかかりにくい半面、一度かかるとグワーッと進む傾向にあります。だから、「勉強しなさい」でエンジンを冷え込ませるよりも、とにかく1センチでも動かすことを考えましょう。

 スポーツでも、ハードな練習は最初は誰もしたくないものです。でも、ウォーミングアップをして体が温まってくると、だんだんやる気も出てきます。それに、いきなりハードに動けばケガのもとですから、やはり「徐々に」が肝心です。

 勉強も同じで、準備体操が必要です。最初は子どもが手を動かしやすいことから始めましょう。

 手を動かしているうちに頭の血も巡り出し、もっと難しい内容へと移行しやすくなります。親は、このウォーミングアップの手伝いをしてあげればいいのです。