開成・麻布・筑波大駒場・渋谷幕張…。東京・吉祥寺の進学塾VAMOSは、「入塾テストなし・先着順」で生徒を選抜しないのに有名難関校に続々合格させると話題の塾だ。男女別カリキュラムを取り入れたロジカルで科学的な学習法は、特にエリート父親層から圧倒的な支持を集めている。本連載では、VAMOSの代表である富永雄輔氏の最新刊『男の子の学力の伸ばし方』(ダイヤモンド社)の内容から、子どもの計画・理解・反復・習慣のプロセスを体系化した「男の子の特性」に基づく学習法をお伝えしていく。

男の子はたくさん「失敗」させた方が学力が伸びる

男の子は「自分で失敗しないとわからない」

 精神的な成長が早い女の子は、想像力や予見力を持っており、親に言われたことを理解できます。でも、男の子はそうではありません。自分で失敗するまで「この方法はダメなんだ」ということがわからないのです。

 だから、男の子にはトライ&エラーをさせて、自分で納得してもらう必要があります。

 4年生のある男子児童は、算数の問題を解くのに「式を書いて考えなさい」と指導しても、一向にそれをしようとしませんでした。おそらく、面倒くさかったのでしょう。ところが、ある段階まできたときに、自己流ではまったく計算が合わずに大慌て。

 ようやく「やっぱり式って大事なんだ」と気づいたようです。それ以来、うるさく言わなくとも式を書いて考えるようになりました。
 
 もう一人、やはり4年生の男子児童は、苦手な漢字の書き取り学習をどういう方法でやるのがいいか、自分で決めたがりました。
 
 お母さんと一緒にリビングで、自分の部屋に一人でこもって、学校の休み時間に友だちと一緒に……と、いくつかのアイデアを自ら出してきました。

 母親にしっかり見てもらうのがどう考えてもベストですが、私はあえてそれを指摘しませんでした。
 
 彼は「学校の休み時間を使うのが合理的だ」などと、わかったようなことを言っていたものの、遊んでしまって全然できず、ようやく「母親に見てもらうのがいい」と納得できたようです。

 このように、思いついたことはなんでもやりたいのが男の子です。

 だから、親が「こうしなさい」と言うよりも、やらせて失敗させたほうがいいのです。男の子は失敗からのリカバリーが非常に早く、起き上がりこぼしのように復活しますから心配いりません。

 そういう意味でも、中学受験のための勉強はなるべく早くから始めたほうがいいでしょう。6年生からではトライ&エラーなどやっている余裕はありませんが、3~4年生ならばいろいろ試せます。

 ある子は夕食前に勉強すると集中できるけれど、ある子は就寝前の30分がいいといった個別の特性も、トライ&エラーで見つけることができます。最適化のプロセスをたくさん試せたら、そのあとの学習が非常に密度の濃いものになっていきます。