ミニバブルは10年越しの経営再建の追い風となったが同時に判断ミスも招いた。2005年に再建が終了しかけていたものの、足踏みしてしまったことが優先株の処理過程から浮かび上がってくる。
長谷工コーポレーションは前2012年3月期で、総額1428億円にも上る優先株をゼロにするという10年越しの“再建”を終了させるはずだった。
ところが、いまだ足元では400億円の優先株が残ったままで、再建は終了していない。
そもそも優先株を抱えた経緯は、1980年代の不動産バブルにある。長谷工は自己資本の4倍強に当たる1兆3000億円もの有利子負債を抱えてしまった。抜本的な再建に着手したのは99年。3560億円もの債務免除、つまり“借金棒引き”を柱とした再建策で、15カ年計画という悠長なものだった。
しかし、01年に発足した小泉純一郎政権の不良債権処理政策で、早期再建を迫られる。悠長な再建策に株式市場も不満を抱き、株価は「倒産株価」といわれる20円前後まで低下した(図1)。
「モラルハザードを招く」と批判された債務免除に代わって用いられたのが「債務の株式化」。要は借金を資本へと変える奇策だ。長谷工は02年に1428億円の優先株を発行。同額の有利子負債は、主要3行が株主となる優先株へと置き換わり、債務超過から脱した。