日本から見えない、仏「黄色いベスト」デモの正しい見方

 これを見ると、2つのことがわかります。1つは、大規模な反政府デモは、現マクロン政権以前の各大統領時代にも、繰り返し起きている。2つ目は、今回の黄色いベスト関連デモ参加者は、約78万人です(11月17日~12月15日の土曜日計)。このように、経済的な打撃は比較的大きいとされるものの、参加人数と社会生活への影響面では、わりと小粒ということです。

劣等生と優等生が逆転して10年が経過

 下の図2にあるとおり、ドイツ(黄線)は、95年から05年まで経済成長率でフランス(青線)の後塵を拝しました。低成長に加え、高失業率、経常収支赤字のトリプルパンチを受け、欧州の劣等生又は病人とまで言われていました。しかし、2003年、大胆な構造改革を断行しました(シュレーダー改革――労働市場の柔軟化、産業の新陳代謝を高め、法人税等の軽減などを通じ、企業が高い収益をあげられる環境を整え、雇用の増加を目指す)。これが主な要因となり、経済が浮揚し、劣等生から優等生となりました。

 一方、これとは逆にフランスは、88年に4.73%あった実質経済成長率が、その後下降し続け、93年には遂にマイナス成長になります。こうした背景の下、95年に年金等の社会保障費改革を皮切りに、歴代の政権が、経済浮揚とその財源確保のために国民にとって痛みとなる改革を繰り返します。

 しかし、その度に大規模なデモが発生し、政府側も改革案の撤回や変更を余儀なくされてきました(図1)。これが浮上のためのブレーキ要因となり、この10年、経済や財政面でドイツに離され続けています。そこで、リテラシーの高い人々を中心に多くの国民が、改革は待ったなしと認識するなか、抜本的な改革の必要性を訴え誕生したのがマクロン政権です。しかし今回も、黄色いベストという、小規模ながらも新しいタイプの市民運動の圧力に対し、同政権も改革案の一部譲歩を余儀なくされました。

日本から見えない、仏「黄色いベスト」デモの正しい見方