時代の主役がスポーツのオーナーとなる

 映画と鉄道から不動産へ。世の趨勢(すうせい)どおりに球団経営の主体が変わっていった。
(誤解のないようにいうと、いまは映画会社も復活してきたし、大手私鉄各社も当社同様に関連事業を交えながら元気に営まれている)

 80年代には、阪急からオリックスに、南海からダイエーへ、2球団で経営権が移った。
 私鉄に代わって金融と流通を代表する会社がプロ野球の舞台に登場してきたというわけだ。

 2000年代に入ると、ソフトバンク、楽天、DeNAといったIT企業が主役に躍り出た。

 このように、プロ野球の球団名の年代別リストには、その時代に輝いた企業名が並ぶ。
 産業界全体の歴史を見ても、1950年代に繊維産業が隆盛を極め、60年代に鉄鋼・造船といった重厚長大型の産業が大きな成長を遂げた。

 70年代に入ると家電や流通が台頭する。80年代には自動車産業が躍進した。
そしていま、IT産業が主役の座を奪った。

変われなければ企業だって老衰を迎える

 こうして見ると、確かに、企業30年説は当てはまる。
 もちろん、そんな法則に当てはまらずに、30年以上繁栄を続けている企業も多く存在する。
 そして逆に、30年よりももっと早く寿命が尽きる企業も少なくない。

 どういった違いがあるのか。
 その答えはひとつ。

 変化への対応能力があるかないか。

 ある事業を立ち上げ、うまく軌道に乗りはじめたとする。
 その企業はひとつの成功体験をもったことになる。
 年月とともに経済のダイナミズムは変化し、技術の革新は否応なしに進む。
 過去の成功体験にしがみつき、業態や組織の改革に手をつけずにすごすなら、企業という生命体は老化の一途をたどる。

 老衰だ。行きつく先には死が待っている。

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