さらに、失踪した外国人技能実習生の聞き取り調査。臨時国会の与野党対決の山とされ、徹夜国会で12月8日未明に可決成立した出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案、もとえ移民法案に関し、失踪した外国人技能実習生のうち2870人から聞き取り調査が行われたが、自分の賃金が最低賃金以下であったと回答したのは、法務省は22人と答弁したのに対して、野党が同じ調査の結果を精査・分析したところ最低賃金以下と答えたのは1927人と大きく食い違った。

 法務省による22人とは、失踪の動機として「最低賃金以下」を上げた者の数と釈明したが、この件が質疑に上がった参院法務委員会は紛糾、その後まで尾を引いた。

統計や調査を巡る不祥事は
なぜ起こるのか

 政府の統計や調査を巡る不祥事はこれらに限られないが、一方で、安倍政権では統計調査の結果を、その政策、特にアベノミクスと呼ばれる一連の政策群の効果を宣伝するのに活用することが多い。

 昨年の衆議院選挙では自民党が配布した政策パンフレットでは大々的な宣伝が行われていたし、街頭演説でも同様であった。それは統計調査の結果を「都合よく解釈・説明」したものであり、いってみれば「乱用」であるとの声も専門家からは聞かれる。

 なぜそう言えるのか、それ以前に統計調査の結果はどう見ればいいのか、そもそも統計や調査を巡る不祥事はなぜ起こり、それを取り締ったり、未然に防いだりする方法はないのか、といった疑問が読者の皆様には浮かんでいることだろう。

 これはわが国の政府の統計に関する制度を理解することで見えてくるものと思われる。

 そこで、国家公務員時代、政府の統計制度を所掌する部局に在籍したことがある者として、政府の統計制度について簡単に解説するとともに、政府の統計をどう見ればいいのか、不祥事はなぜ起こり、どう防止できるのかについて、論じてみたい。

統計法に基づいて調査
特に重要なのは「基幹統計」

 まず、わが国の統計制度について。この「統計制度」という言葉を初めて聞く読者も多いのではないだろうか。