会社員キャリアを阻む7つの壁

2019年、会社員のキャリアは「AND」でつくる原尻淳一(はらじり・じゅんいち)
Harajiri Marketing Design 代表取締役、龍谷大学経済学部 客員教授
1972年埼玉県生まれ。大手広告代理店入社し、主に飲料のブランドマーケティング業務に携わる。その後、エイベックスグループに転職。多くのアーティストのマーケティング戦略、映画「レッドクリフ」の宣伝戦略立案、アニメ「ONE PIECE」のDVD事業戦略立案を行い、大ヒットに導いた。現在はマーケティングコンサルタントとして新規事業立案に取り組むことが多くなっている。また大学教授として知の技法と実践的マーケティングの講義を行っている。著書に『IDEA HACKS!』等、東洋経済ハックシリーズ。近著では『ビジュアル マーケティング・フレームワーク』(日経文庫)がある。日経ビジネススクール講師。環境省や厚生労働省の委員等も歴任している。

「会社員としてのキャリア」を考えると、どうしても次の7つの壁にぶつかってしまいます。

1.就職の限界
医者や弁護士など、難易度の高い国家試験をくぐり抜けても、すでに先達が多く飽和状態で、期待しているほどの高収入を得られない現実が世界的に進行しています。
もはや、かつては誰もが疑わなかった安泰キャリアの物語は消えつつあります。

2.会社組織の限界
自分が勤めている会社がいつ倒産するのか分からない不安に襲われている人が急増中です。一昔前までは「企業の寿命は30年」と言われたものでしたが、すでに「10年」と唱える人も。あなたが属する会社はどうでしょう?(新年早々驚かしてしまい申しわけありません)

3.昇進の限界
これほど混迷したビジネス環境のもとで厳しいノルマや成果の達成に向け四苦八苦している中間管理職を間近に見て、下手に昇進して上司のようになりたくない、と考える若手ビジネスパーソンが増えています(若手の4割は昇進に魅力を感じていないというデータも)。

4.精神の限界
管理職だけに限らず、現場の社員にとっても目標へのコミットメントは重たいものです。
結果への責任だけは与えられるけれども、それに応じた権利はない実情もあります。真面目なビジネスパーソンほど人知れず心を痛め、うつ病などになってしまう人も少なくありません。

5.実力の限界
自社の看板に寄りかかって業務をしていることを、自分自身の実力と取り違える「勘違い社員」もたくさんいます。その勘違いをそのままに転職などしてしまって痛い目に遭う人も。

6.退職後の限界
会社に属していた頃の人間関係やコミュニケーションに慣れすぎてしまったのか、退職後になって地域社会と交われずにいるシニア男性もまた数多くいます。会社人間に偏りすぎてしまったことで、定年後を持て余し、家族からも疎ましく思われています。

7.夢実現の限界
子どもの頃、卒業文集に書いた「将来の夢」。その夢を実現させた人はどれほどいるのでしょう?

新年早々、ドキッとするお話で恐縮です。
こんなに限界だらけのキャリア論、一体何が原因なのでしょうか?
あなたのせいでは、決してありません!

それは「キャリア選択の範囲が会社限定の"一本道"で選択肢が"二者択一"だから」です。

ある程度、会社がらみを離れて自由になる時間を多く持つようになった現在、誰もが一本道のキャリア選択には収まりきれない、たくさんの経験を持っているはずです。

そこで、2019年は昔ながらの限界だらけのキャリア論を捨てて、
新しい発想で自身の可能性を探ることを提案します!
それが「ANDキャリア」という考え方です。