ライフワークでも食べていける時代に。
キーワードは「生産すること」
映像作家・永川優樹さんの作品「WORLD - CRUISE」を見たことがあるでしょうか。
CRUISEシリーズと呼ばれる彼の作品は、ゆっくりと歩きながら世界中の街を撮影した作品。TwitterやFacebookなどでクチコミを増やし、視聴者数の増加とともにYouTubeからの収入も増加。2010年の途中からは「旅の映像で得た収入で旅をする」状態になっていたそうです。
旅先からアップロードされたYouTube上での映像を通じて世界中の人々と交流し、ソーシャルメディアをフル活用した永川さんの活動は、今や「大人一人が生活するのに充分な」収入をもたらしている、と言います。
ほんの一例にすぎませんが、ソーシャルメディアネットワーク上に起こり得る経済圏の勃興は顕著です。パーソナルコンピュータの進化とインターネット上でつながる新しいライフスタイルは、優れた個人(生産=消費者)が作ったサービスや表現物を瞬く間に世界中に広げ、地理と時間軸を超えて生産=消費者が起点となる経済を形成しつつあります。
永川さんの例は、2013年に刊行した『「キャリア未来地図」の描き方』で取り上げましたが、クラウドファンディングやインターネット上の「投げ銭」システムがあたりまえになった今、このように「自らが生産した財・サービスを周囲とシェアする」こと事態、珍しいことではなくなりました。
優れたクリエイティビティに対して、規模は小さくてもお金が流れ、経済として回る仕組み。これを松岡正剛さんは「お鉢を回す経済」「関係する経済」と呼びました。
こうした小さな経済が今インターネット上に無数に確立しつつあり、ライフワークとしての活動が充分経済的な価値を認められる可能性が広がってきたことが分かります。
何かを生産すること。
これが新しいキャリアデザインを打ち立てていくときのキーワードになっていきます。
※次回は「消費」から「生産」へのシフト、会社員における「消費的働き方」から「生産的働き方」へのキャリアシフトについてお伝えします。2019年1月9日公開予定です。