当然、就業者も今後減少を続ける。2018年の就業者は6580万人だが、7年後には230万人も減り、2040年にはさらに700万人も少なくなる。高齢者が増えるので、逆に医療福祉の従事者は必要となり、40年には5人に1人の割合まで高まる。厚労省や内閣府の算出である。

 入管法の国会審議では、連日のように技能実習生の劣悪な労働実態が次々明るみに出て、人手不足の根本原因が問われなかった。少子化問題が俎上に載らないまま入管法が成立したのだ。その直後に、なんと少子化対策に逆行する声が政権与党から出てきて驚かされた。

「日本の伝統的な家族観を壊してしまう」と言う声である。保守系議員の間に根強い主張だ。実は、全く同じ論調が20年以上前に繰り出された。介護保険法が審議されていた国会論戦の最中であった。施行を半年後に控えた1999年秋のことだ。

「子どもや家族が親や身内の介護をするのが日本の伝統的な美風である。社会サービスで介護をするのは、それに反する」「家族介護者に何の見返りもないのはおかしい。家族介護者にも現金給付を与えるべき」と亀井静香政調会長などが言いたてた。

 当時の亀井議員は、自民党と自由党の連立政権を打ち立て、あらゆる政策にリーダーシップをとっていた政権の実力者だった。

 だが、家族介護への給付は、世論の猛反対にあい退けられた。「嫁や妻、娘たち女性が家族介護を半強制的に担わされてきた。それを『介護の社会化』で変えていくのが介護保険の精神」とする勢いが勝ったことによる。

 20年後にまたもや「日本の伝統的な家族観」が鎌首をもたげてきた。今回は、来年度の税制改正が争点。「ひとり親への住民税・所得税」問題である。

事実婚、未婚のひとり親には、
「寡婦控除」が適用されない実態

 所得税で最高35万円、住民税で最高30万円の「寡婦(寡夫)控除」をめぐって与党内で対立した。配偶者と死別あるいは離婚したひとり親が「寡婦」として控除を受けられる。もともと戦争未亡人向けに創設された経緯があり、婚姻歴のある人だけが控除対象になる。法律上の婚姻をしていない事実婚だったひとり親は、「寡婦」とみなされない。

 そこへ、公明党が「未婚のひとり親が外れているのはおかしい。子どもの貧困問題が広がる中、婚姻歴の有無で税負担が異なるのは不平等ではないか」「ひとり親への支援は子どもの支援そのもの。子どもに罪はなく、親の婚姻状態で差別するのは疑問だ」と改正を求めた。低所得者からの支持が多く、福祉の党を前面に打ち出す公明党としてはぜひとも実現したい政策だ。