景気は自分では方向を変えないし
時計も持っていない

 景気は循環する。経済学の教科書を見ると、「在庫循環」「設備投資循環」などと書いてある。しかしそれは過去の話。今は、景気は自ら勝手に方向を変えたりしない。

 在庫循環というのは、経済がサービス化する前、製造業が経済の中心であった頃の話で、かつ在庫管理技術が稚拙だった頃の話だ。また設備投資循環は、コンピューターのように更新投資の期間が短い物がなく、一度好況で設備投資が盛り上がると、その10年後にすべての設備が一斉に更新期を迎えた時代のものだ。

 当然だが、景気は時計を持っていないから、「過去の景気拡大の平均である36ヵ月を超えたし、戦後最長を更新したから、そろそろ後退しよう」などと考えることもない。

 ということは、「景気が拡大している時には物が売れるので、企業が増産する。そのために失業者を雇うと、給料をもらった元失業者が物を買うので、ますます物が売れる」「物が売れるので企業が増産のため設備投資をする。そうなれば鉄とセメントと設備機械が売れる」「景気が回復すると企業が黒字になるので、銀行が安心して融資する」といった具合に、景気は一度回復を始めるとそのまま回復・拡大を続けるのだ。反対に景気が一度下を向くと、当然であるが、そのまま下がり続けるものなのだ。

 したがって、2019年についても、特別な事が起きなければ景気は回復・拡大を続けるだろう。実際、雇用は順調に拡大を続けており、非正規労働者の時給も労働力不足を反映して上昇しつつあるため、雇用者所得は全体として順調な増加を示している。これが消費の拡大に今ひとつ直結していない点は残念だが、少なくとも個人消費が失速することはなさそうだ。