以前この連載で説明した、民営化された高速道路会社のトップ人事を巡る関係者の暗躍の全貌が、霞ヶ関や永田町などからの情報や噂を総合してようやく明確になりました。そこで、今回はその全貌を暴露したいと思います。

道路利権の復活に動く
政官財のトライアングル

 民営化された高速道路会社のトップ人事を巡る仕掛けは、4月中旬の新聞記事から始まりました。民営化された高速道路会社の役員数が道路公団のときよりも大幅に増え、経営陣の給与総額も増えているという趣旨の記事です。

 しかし実際は、2年前に社長に任命された民間出身の現トップは総じて、会社全体としての総人件費は減少させ、役所からの天下りを厚遇することもしない、と民間では当たり前の経営を行ってそれなりの成果を出していました。

 それでは、なぜこうした新聞記事が出たのでしょうか。道路予算の復活を見越して、政官財のトライアングルで道路利権構造を復活させようという思惑が動いているからです。

 ここでの“政”は国交省副大臣です。この副大臣は2009年の政権交代後に、“民主党(の方)を向かないヤツには予算を回さない”と公言したこともあるのですが、2年前の高速道路会社の人事を決めた前原元国交大臣への私怨も混じって、道路利権の獲得に走っているようです。

 “官”は国交省道路局の官僚です。天下りを増やし、そして天下りした人がかつてのように厚遇される構造を復活させようという、要は官の側の道路利権の復活を目指しているのでしょう。件の4月中旬の新聞記事も、国交省道路局の幹部(個人名も特定済み)がリークしていますが、自分たちに都合の良いトップ人事を支持する世論形成を狙っていたのは明らかです。