なぜ横浜FCは契約更新し続けるのか
理由はカズのストイックな練習姿勢に

 現役の間はプレーヤーひと筋に専念する。カズの覚悟と決意が伝わってくる。そして、それらをすべて理解し、契約を更新し続けているのが横浜FCというクラブとなる。2015年から横浜FCの強化育成テクニカルダイレクターに就任し、その後に監督も務めた中田仁司氏からこんな言葉を聞いたことがある。

「横浜FCというクラブの力が、カズをバックアップしている部分は正直あります。しかし、だからと言って、カズが可哀想だからそこにいさせているわけではありません」

 中田氏が言及した「そこ」とは横浜FCであり、同時に現役を続けていることを指す。成績不振に伴い、2017年秋に監督を解任されてから時間がやや経過しているが、フロントの強化責任者と現場における最高責任者の両方でカズに接した稀有な存在なだけに、中田氏が発した言葉には重みがある。

 例えば強化の立場では、シーズンを通してカズがどのような形でチームに貢献しているのかを、ピッチの内外で微に入り細をうがって注視してきた。

「練習開始の2時間前にはクラブハウスへ来て準備しているし、練習後はそれこそ4時間、5時間かけて体をケアしてから帰る。コンディション作りの面でもそうですけど、1日24時間の中で取るべき姿勢を含めて、プロの行動とはどうあるべきか、というお手本を示してくれてもいる。若い選手たちには『カズを見習いなさい』と言ってきましたが、次元をちょっと超えているので、真似をしようにもついていけない選手もいる。中には『あの人はあの人でしょう』と、別枠みたいな捉え方をする選手も当然ながらいました。ただ、そういう選手はカズを抜くことはできませんよね」

 時間の経過とともに淘汰されていく選手を、中田氏は何人も見てきた。ならば、監督としてはどうか。中田氏は苦笑しながら「やれよ、ですよね」とこんな言葉を紡いでくれた。

「僕はスター選手だから、という部分が一切ないし、逆に周りの選手以上の努力を積んで毎試合に臨んでいますからね。強化として『続けられるのならば、現役で頑張りなさい』という目線で見て来たのと一緒ですよね。カズ自身が『グラウンドの上で死にたい』と言っているのだから、それでいいじゃないですか。これだけJクラブの数が増えた中で、カズのようなレジェンドが一人いても」