複数の運動器疾患が
ロコモを引き起こす

 歩行や自立は、骨と関節と筋肉、神経の「運動器」がすべて関わっている動作なので、運動器のうち、どれか1つでも欠けるだけで、日常生活にも支障が出る。

「若者が動けなくなる原因は、交通事故による骨折や病気など、理由が1つに絞られます。しかし、高齢者の場合は複数の運動器の疾患が連鎖・複合することで、体が動かしにくい状態になっていくのが特徴です」

 たとえば、加齢とともに筋力が衰える「サルコペニア」を発症している高齢者が、少しつまずいて転んだだけで骨を折った場合、ただの骨折ではない、と大江医師は話す。

「サルコペニアは筋肉の衰え、骨折は骨粗しょう症によって骨がもろくなっていることが原因の、骨脆弱性骨折の可能性が高いのです。このように、高齢者が動けなくなるきっかけは1つではないため、その原因を突き止める必要があります。ロコモが進めば『立つ』『歩く』の動作ができなくなるだけでなく、生活に刺激がなくなり、脳機能が衰えたり、内臓にも問題が生じたりするなど、全身に悪い影響が現れてしまいます」

 移動機能だけでなく、老後の生活の質全般に関わるロコモ。「年を取ったのだから、多少の動きづらさは仕方がない」では済まされないのだ。