その主因は、航空機業界に急激に押し寄せる電動化の波だ。自動車に比べて遅れていた航空機の電動化だが、2017年から開発機運が一気に高まり、いまや世界で約60ものプロジェクトが立ち上がる。中には、20年代前半のローンチを視野に入れたものまであり、開発が加速している。

 むろん、実現化に向けた競争は、まず貨物や1~5人の人員輸送のための電動の“空飛ぶ車”が主戦場になる。だが、数十席から100席以上の、現在主流の旅客機でも、電動化を急がないわけにはいかない事情がある。

 一つは、環境規制に対応するためだ。国際民間航空機関(ICAO)は、二酸化炭素の排出量を50年に05年比で半減させることを目標として掲げている。「オペレーションの効率化で空の渋滞をなくす」といった現行技術の改善で何とかなるのはごく一部で、目標達成には電動化などの新規技術による削減が欠かせない。

 もう一つは、機体の付加価値を向上させるためだ。電動化すれば騒音が減るため、深夜や早朝にも機体を飛ばしやすくなる。また、部品点数の減少によって整備コストが抑えられ、今より航空運賃を安くできる可能性がある。

 電動航空機の開発はもはや、競争力強化を目指す航空機メーカーにとって避けては通れない喫緊の課題となっているのだ。

 ところが、「電動航空機の開発において、ボーイングはライバルである欧州エアバスの後塵を拝している」(航空機業界関係者)。

 実際に、エアバスはすでに四つのプロジェクトを展開している。その一つが、航空機エンジンメーカーの英ロールス・ロイスと重電大手の独シーメンスとの、100席前後の機体を土台にした実験機「E-Fan X」の共同開発で、20年には実証飛行を行う予定だ。

 こうした流れの中で合意に至ったのが今回の技術協力である。ボーイングは技術力の高い日本企業との連携を深めることで、エアバスに徹底対抗するもようだ。