マツダの規模感を考えても、そうだろう。トヨタなどの大手が多くの車種ごとのブランドを持ってそれぞれのブランドに多額の広告費をかけたとしても、それを吸収できるだけの規模がある。一方、マツダは原則として広島企業としての中堅自動車メーカーとしての矜持が強い。規模を追うより広島の工場の範囲でつくれるものをつくる会社であろう。

 そうしたときに、大手自動車メーカーのように様々なコンセプトの車種を多彩に展開するよりも、現在のように1つのメッセージ、共通の技術を訴求するマツダの戦略は、マツダの規模感に合っている。

 さらに言えば、マツダの今後の課題は営業利益率の向上だろう。車体単価が上がってきているとはいえ、まだまだマツダの営業利益率は高いとは言えない。中堅自動車メーカーとして生き残るには、規模は小ぶりでも利益率が高いメーカーになることが必須である。

むしろ「マツダ3」のほうが
マツダらしさメッセージできる理由

 そうしたときに、プロモーションの方向性がバラける個別の車種ブランドよりも、訴求すべきはマツダにとって最も重要なブランドである「マツダ」そのものである。そうしたメッセージの先鋭化を図ると共に、プロモーションコストの効率化を目指すべきだろう。

 高級車はアテンザ、ミッドクラスはアクセラと異なる顧客層ではなく、「マツダが欲しい」がまずあって、そのなかで顧客の生活スタイルや駐車スペースなどを考えたときに、「どのクラスのマツダにしようか」「3か6か」という選び方の方が、今のマツダらしいマツダ車の買い方なのではないだろうか。

 最終的にマツダがどのような判断をするかはわからないが、仮にマツダが国内でもニューメリックネームを採用するとすれば、それは単に国内外のブランド統一によるコストダウンではなく、マツダらしさを示す強力なメッセージになるのではないだろうか。

(早稲田大学大学院経営管理研究科教授 長内 厚)