半年後に購入しようと
思っていたはずが…

私が家電量販店で最新のビデオカメラを買いに行った時のエピソードです。

その時はちょうど子どもが生まれたばかりで、今までのビデオカメラよりも、良い画質のモデルを探していました。
しかし、やはり最新機種は価格も高くつきます。

私:「これ、最新機種だから画質も手振れ補正も付いていて良いですね」

店員さん:「そうですね。今までお持ちのカメラと比較しても、お肌の質感まで違いますね」

私:「でも、やっぱり高いですね。半年も経てば型落ちになって1万円ぐらいは値段下がりますよね?」

私の心の中では、「やっぱり高いから、今のビデオ使っていて安くなれば買えばいいや」と断りモードに入っていました。

しかし、その私のセリフを待ってました!と言わんばかりに、店員さんはニコっと笑顔になってこう言いました。

店員さん:「お客様のおっしゃる通りです。半年経てばお値段は安くなります。しかし、その半年間の間に可愛いお子さんの素敵な笑顔を、最新画質で一生残せると思ったら、1万円以上の価値は無いですか? 今のお子さんの笑顔は、今しか残せませんよ」

私「おおー、確かに! 半年間の可愛い我が子の笑顔を考えると価値あるなぁー。せこいこと言ってごめんなさい! すぐに買います!」

と、即断で最新機種を買って、喜んで家路に着きました。

この店員さんは、恐らく鉄板トークで使っていたのでしょう。

トークのポイントもうお分かりですね、店員さんは、そう「価値基準を変えた」のです。

私は、「ビデオカメラ」の価値に基準に置いていたのに、店員さんはその「ビデオカメラで撮影する子どもの笑顔」に価値を置いたのです。

さらに半年経てば値段が下がるという、「価格が下がる所」に焦点を当てていたところに、その半年間で素敵な笑顔が取れる(買わないと、その笑顔が撮れなくなる)という「半年で得られる価値」に焦点を当てたのです。

こうやって、店員さんが私の価値基準を変えたことで、思わず即買いしたのです。

相手の価値基準を変えることで欲しくさせるのが販売や営業の醍醐味で、それができないのであればネットで買うのと同じです。
是非、お客様の価値基準を変える提案をしてみてください。

伝え方次第で、モノも売れる!思わず即決させられた店員さんのひとこと羽田 徹(はだ とおる)
話し方コンサルタント・トップ講師プロデューサー・株式会社web-school.tv代表取締役
大学生の頃よりラジオDJを始め、1998年に大阪人気No.1のFM802主催の新人DJオーディションに合格。その後FM愛知や文化放送でラジオオDJとして10年間活動。番組降板により挫折し不動産投資会社の営業に転職。話し方を武器にさらに営業力を磨き、2年目にトップ営業になる。2008年にはその営業力が認められ倒産寸前だったロープライス眼鏡会社の取締役営業本部長に就任し、当時64店舗から110店舗への躍進を支える。またインターネットカフェ最大手にて社外取締役を歴任。2012年、ラジオDJとしての話し方の技術、営業力、組織マネジメント力、経営経験などを生かし、組織人事コンサルタント会社のリンクアンドモチベーションにてナビゲーター(研修講師)、ファシリテーターとして活動。大手企業からベンチャーまで年間100件以上登壇、延べ2万人以上の人たちと接する。研修講師の採用や育成の責任者も兼任。新人やマネジメント研修、エグゼクティブへのスピーチ・プレゼン指導、組織活性ワークショップ、働き方改革の為のロジカルシンキング講座などを得意とする。自身の経験から「学びでこの世界を豊かにする」を理念として活動中。著書に『ビジネスマンのためのスピーチ上手になれる本』(同文舘出版)がある。社会人のための「話し方動画教室オンライン」運営。