看護師と介護職員の
板挟みで心身が疲弊

 中村氏によれば、医療・介護施設にはヒエラルキーが存在するという。本記事では話をわかりやすくするために、介護施設ではなく病院を例に説明しよう。

 ある病院では、勤務する職種の割合が介護職員25%、看護師21%、その他(医師やリハビリスタッフ、事務など)が54%となっている。この場合、人数的に見れば、現場の最大勢力は介護職員ということになるが、力関係は異なる。

「序列的にはトップが医師、続いて看護師、介護職員となっています。特に看護師と介護職員の確執は有名です。たとえば、オムツ交換は看護師の仕事でもありますが、看護師の中には『オムツ交換ぐらい介護職員がやれ。介護職員は医療について無知なんだから、私たちに医療(補助)以外の仕事をさせるな。悔しかったら看護学校出てみろ』と、介護職員を見下す人がいるのも残念ながら事実です」

 特に看護師の攻撃対象にされやすいのが、現場の介護職員を束ねる介護福祉士(介護主任)なのだという。

「高圧的な看護師は、やりたくない上に評価もされないオムツ交換をするより、自分の査定に響く注射や投薬など医療(補助)行為に専念したいのでしょう。介護福祉士も多少の医学を勉強してきてはいますが、看護師の本音としては彼らに介護以外の仕事をさせたくないのだと思います。下手に医療的なことにまで手を出されると、医療の知識を盾に取った看護師の優位な立場が崩れかねませんからね」

 しかし、前述のように、介護福祉士は役職的には現場の介護職員たちの上司にあたる存在だ。なぜ彼らがヒエラルキーの最底辺なのだろうか。

「ヘルパーなど現場の介護職員は、年配の女性が多く、しかも病院内では多数派です。さすがの看護師も、彼女たちにはあまりきつく言えないものです。一方で、介護福祉士の資格を持っている人は若い世代に多いため、看護師はズバズバと文句を言いやすく、介護職員のマネジメントを押し付けようとします。すると、介護福祉士は年配の介護職員たちからも反発され、ガミガミ言われるという板挟みになってしまうわけです」

 徒党を組んだ年配の女性を敵に回したくないのは、どの世界でも同じだろう。介護福祉士は、看護師と介護職員の板挟みにあう哀れな中間管理職、という位置づけなのだ。