給料アップよりも
名誉やヤル気の方が強い

 2つの違いは、別の観点から見ると「外発的動機」と「内発的動機」で考えることもできる。「外発的動機」とは外部から与えられる要因、すなわちサラリーマンでいえば「報酬の多寡」のようなものがそれに当たる。

 それに対して「内発的動機」とは、責任や権限の大きさ、仕事のやりがい、興味などだ。そして多くの場合、仕事に対するモチベーションは「外発的動機」よりも「内発的動機」の方が強いといわれている。

 例えばサラリーマンを例に考えてみよう。

 なぜサラリーマンは、昇格するとうれしいのだろう。収入が上がるのはもちろんだが、それ以上に大きいのは、自分が差配する範囲が広がること、つまり「責任と権限が大きくなること」だと言っていいだろう。収入はその結果としてついてくるものだからだ。

 極端な場合を考えてみると、仮に「給料は変わらないけど、課長から部長に昇格させる」という場合と、「給料を少し引き上げる代わりに、課長から平社員に降格する」という選択肢を示されたとしたら、案外、前者を選ぶ人が多いのではないだろうか。

 これは、給料アップという「外発的動機」よりも、権限が拡大することによる名誉ややる気という「内発的動機」の方が強いと考えるのが一般的だからだ。

 もちろん、この感じ方は人によって異なる。例えば前述の例で言えば、後者を選ぶ人だっているはずだ。実際、企業の中においてラインの長から専門職へ移るというケースだってある。役職は外れるが、専門職としてそれまでよりも高い報酬を得られる可能性も出てくる。

 ただこの場合でも、やはり単なる報酬アップより、専門職として“自分のやりたい仕事”ができることによるモチベーション向上という面が強いのではないだろうか。

 組織や人を動かす上において、こうした行動原理を知っておいても決して損はないといえるだろう。

(経済コラムニスト 大江英樹)