西アフリカでの対応では、各国の保健省主導ではなく、国連機関が中心に実施したことにより、さまざまな活動の調整がなかなかうまくいかず、結果として効果的な活動ができなかった。これと比較すると、全く異なった状況である。

日本の対策チームが派遣された
9回目の赤道州での流行

 赤道州のエボラには、いくつかの特徴がある。

 今回発生した赤道州のビコロという地域は、熱帯雨林も含まれ、狩猟民族であるムブティ人も多いところであり、野生動物を食するところであるのも特徴だった。

2018年赤道州におけるエボラ症例の流行曲線と日本の対応

 また、距離は離れているが、コンゴ川で首都のキンシャサにつながっており、毎日大小さまざま船がキンシャサと行き来している。このため、この地域での流行の拡大は、首都キンシャサでの流行に直結することが大きな問題だった。

 今回のコンゴ民主共和国9回目の赤道州での流行では、日本の国際緊急援助隊・感染症対策チームが派遣された。

検疫所を示す横断幕
検疫所を示す横断幕 写真:国立国際医療研究センター 国際医療協力局 法月正太郎(当時)

 本チームは西アフリカのエボラ流行時に、日本からの派遣が十分できなかったことから、2014年にJICA国際緊急援助隊事務局で発足したもので、エボラのような重大な感染症対策のために派遣されるチームである。

 これまで、2015年に、やはりコンゴ民主共和国で黄熱病が流行した際にも感染症対策チームが派遣され、大規模な予防接種対策に協力し黄熱病の流行阻止に貢献した。

 今回も5月29日からの調査チームの派遣に続いて本隊が派遣され、コンゴ川のキンシャサへ通じる地点に検疫拠点を設け、キンシャサへ向かう船の検疫を実施して、キンシャサへのエボラ侵入阻止に貢献した。

下船時の消毒の様子
下船時の消毒の様子 写真:国立国際医療研究センター 国際医療協力局 法月正太郎(当時)

 5月以降、保健省と国連機関が協力した効果的な対策が功を奏し、エボラが最初に発生したビコロ地区、イボコ地区および赤道州の州都のムバンダカで封じ込めることに成功し、症例数55人、死亡者数29人にとどめることができた。