そもそも、なぜ景気が後退するのかには諸説あるが、筆者の理解では需要が減少するからだ。需要が減ると生産が減り、生産のための雇用が減り、失業が発生する。失業者は物(財およびサービスを本稿では物と記す)を買わないから、物が一層売れなくなるといった悪循環に陥るわけだ。

 需要が減少する理由としては、在庫循環、設備投資循環などを挙げる向きもあろうが、筆者はそうは思わない(理由は後述)。したがって、需要が減少する要因としては、海外向け輸出が減少する、バブルが崩壊する、金融引き締めで投資が減る、といったことが主だろう。

労働力不足経済では
失業が発生しにくい

 少子高齢化は、2つの理由で労働力不足をもたらす。1つは、需要を規定する総人口よりも生産量を規定する生産年齢人口の減り方が大きいため、需要不足が起きにくくなるからだ。少数の若者が作ったものを大勢の高齢者が奪い合うので、若者の仕事はなくならないといったイメージだろう。

 もう1つは、高齢者の需要は医療や介護など、労働集約的な物が多いからである。若者が100万円の自動車を買っても、全自動のロボットが作ってしまうので失業は減らないが、高齢者が100万円で医療や介護を頼むと失業が確実に減るといったイメージだ。

 バブル崩壊後の長期低迷期には、需要不足による失業問題に悩まされ続けた日本経済だが、これからは少子高齢化による労働力不足の時代を迎え、失業問題に悩まないようになると期待される。

 そうなると、「好況時は超労働力不足、不況時はやや労働力不足」といった状況となり、「失業者が物を買わないから一層需要が減少する」ということは起きにくくなる。そうなれば、景気後退の悪循環が生じないので「景気の谷」は浅くなるわけだ。