間引き運転の混乱緩和には
情報公開や基準明確化が必要

 ここで昨年話題になったキーワードを思い出してほしい。台風接近時の「計画運休」である。台風と大雪では全く状況が違うと言われるかもしれないが、JR西日本は、2015年の台風11号で駅間に長時間立ち往生した列車の乗客が救急搬送された事態を受けて、計画運休の導入に踏み切ったように、間引き運転と計画運休の問題意識は共通している。

 大雪、台風、あるいは地震などの災害時、鉄道事業者が最も懸念するのが、列車が駅間に停止して乗客が閉じ込められる事態だ。乗客の安全を確保しながら、救助を手配しなければならず、二次被害の恐れもある。対応に時間を要し、運転再開も遅れることになる。

 利用者にとってはいっそ、大雪時も台風と同様に「計画運休」してしまう方が分かりやすいのかもしれないが、雪の予報は台風の進路予測よりはるかに難しい。台風の暴風や豪雨は列車の運行に直接的な危険を及ぼす可能性が高いが、首都圏で起りうる降雪の程度であれば、速度規制と間引き運転を行えば直ちに運行を停止するほどの危険はなく、降雪時に「計画運休」まで踏み込むのは困難だろう。

 計画運休が支持された背景には、鉄道が止まるなら都市活動も一時休止するという分かりやすさがあったが、間引き運転には分かりにくさが付きまとう。しかし台風時の計画運休の効果が認知された今、大雪に対しても同じ姿勢で向き合うことはできるのではないだろうか。実際、大雪が予想される場合に終業時間を繰り上げて、早く帰宅させる企業も増えている。

 今後、さらに企業や学校に大雪時の対処を促すためには、間引き運転に計画運休の教訓を活かす必要があるだろう。間引き運転の実施を出来るだけ早く情報提供することはもちろん、日ごろからどの程度の積雪で運転規制を実施するか、基準を明確化する必要がある。

 たとえば東急電鉄は、何センチ以上の積雪で運転規制を実施するか、何割の運行本数でどの程度の混雑になるかといった情報を、冊子やweb上で一般向けに解説している。鉄道事業者が間引き運転を行わざるを得ないのであれば、こうした努力は避けては通れないはずだ。