上司はどっちのタイプ?
ヤル気にさせるか、それとも失わせるか

 上司であるあなたは、部下をヤル気にさせるか、部下のヤル気を失わせるか――。その最大のポイントは部下に「自分は期待されている」と感じさせることができているかどうかにある。それを、心理学でいうとピグマリオン効果という。

 ピグマリオン効果とは、期待する方向に相手が変わっていくことを指す。

 ここで、心理学者のローゼンタールヤコブソンが小学校を舞台に行ったピグマリオン効果を証明した有名な実験について、ごく簡単に説明しよう。

 彼らは、小学校の生徒たちに知能テストのようなものを実施した後に、各クラスの上位2割の生徒たちのリストだとして名簿を各クラスの担任教師に渡し、こう伝えた。

「この生徒たちは知能が高いから、これからぐんぐん伸びるはず」

 その後、追跡調査を行ったところ、実際にそのリストに名前のあった2割の生徒たちの成績の伸びは、残りの8割の生徒たちの成績の伸びを、大きく上回っていたという。もちろん個人差はあるものの、それぞれの伸びの平均値を比べてみると大きな差がついていたのである。

 その2割の生徒の成績が特に伸びたのは、知能が高いのだから当然だと思うかもしれない。

 ところが教師に渡された先ほどのリストは、実は知能の高さとは関係がなく、ランダムサンプリングで選ばれた生徒たちだったのである。それにもかかわらず、信じられないことに、このリストに名前のあった生徒たちの成績が、本当に伸びたのである。

 なぜそのようなことが起こったのか。それはリストを受け取った教師が「この生徒は伸びるはず」と信じ込まされ、期待をしたからである。

 そんな教師からの視線を肌で感じた生徒が、その期待に応えようと必死になって頑張る、といった心理メカニズムが働いていたと考えられる。

 そこで、教師の期待の視線を感じた生徒たちの成績が実際に他の生徒たちよりも伸びたことに対して、ピグマリオン効果と名づけられたのである。