給与天引きは
最強の資産形成術

 まず給与天引きだが、これには不思議な効果がある。それは行動経済学で「メンタルアカウンティング=心の会計」といって、同じようにお金を動かしても心の中で勝手に仕分けされる不思議な心理だ。

 残ったお金で生活するようにすれば、知らず知らずの内にお金はたまっていく。一定額を強制的に天引きすることで、最初は少し生活が窮屈に感じてもすぐに慣れてくる。なぜなら、天引きで引かれてしまったものは最初から「なかったもの」と認識されるからだ。そうすれば天引きされた後の残りのお金は、どんなに無駄遣いしても大丈夫だ。もし、給与天引きの仕組みがなければ、銀行からの自動引き落としでもかまわない。

 次に、会社の制度を利用することのメリットを考えてみよう。お金をためる大原則は「入りを図って、出るを制す」ということだが、さらに一歩踏み込んで考えると「お金を入れるときは簡単に、出すときは難しく」ということが大切だ。

 給与天引きであれば「お金を入れる時は簡単に」というルールにピッタリなのは言うまでもない。それに加えて給与天引きで積み立てる商品の多くは社内制度であることが多いため、これが「出す時は難しく」というのに非常に好都合なのだ。

 なぜなら、こうした社内制度は銀行のATMで簡単に引き出すようなわけにはいかず、社内的に書類を出したり、場合によっては上司の印鑑をもらったりしなければならないこともあるからだ。手続きの面倒さに加え、上司のもとに行ったときに余計なひと言を言われるくらいなら使うのは我慢しようと考えたり、別のお金を使おうという気持ちになったりしがちだ。結果、社内制度で蓄えたお金は残っていくことになるのだ。