全国的な「業況悪化業種」として、国からも認定を受けている靴小売業界。そんな逆境の中、日本製のオーダーシューズで年20%成長を果たしている婦人靴ブランドがある。3D計測器を用い、ミリ単位まで足にフィットするシューズを9900円という価格帯で提供する「KiBERA(キビラ)」だ。2014年に同ブランドを立ち上げたのは、元ファーストリテイリングで「ユニクロシューズ」の立ち上げにも関わった経験を持つ、福谷智之氏。なぜ不況産業である靴業界に参入し、成長を続けることができるのか、その理由を聞いた。(取材・文/福田さや香+YOSCA、企画編集/FIREBUG+武田鼎)
トレンドではなく
ベーシックが売れる
2014年に創業し、現在は国内11店舗に加えてECサイトでの販売も好調なキビラ。SNSでも評判が広まり、2018年の売上高は約6億8000万円と、前年比約120%(ECサイトのみでは150%)を記録した。これほどの成長を続けるのは、不況が続く靴小売業界では非常に珍しい。
「業界内では、あまり景気のいい話を聞きませんね。どこのメーカーもトレンドを反映した靴を数多く展開していますが、なかなか売れない。売れ残るから仕方なくセールやアウトレットで値段を下げて投げ売って、さらにもうけが薄くなる。今や、日本で買えるメードインジャパンの靴は全体の約8.5%しかありません。ほとんどが輸入品に頼っている状況です」(福谷氏)