前期日程が終わる2月26日から後期日程の3月12日まで、国立大志望の受験生は正念場を迎える。
本記事では、元NHKアナウンサーの小論文講師で、現在6刷2万8000部超のベストセラー『全試験対応!直前でも一発合格! 落とされない小論文』の著者「ウェブ小論文塾」代表・今道琢也氏が、大学入試の小論文試験で多用される「グラフ付きの出題」について、多くの受験生がミスを犯しがちなポイントと、その回避策についてお伝えする。(構成:編集部 今野良介)
「●●%減っている」には2通りの意味がある
大学入試の小論文ではグラフの読み取りをさせる問題が良く出されます。この時にぜひ知っておきたいことがあります。
たとえば、次のようなグラフがあったとします。
このグラフを読み取る場合、どのような書き方があるでしょうか。
まず、次のように書けるでしょう。
【A】家族でそろって夕食を食べる家庭の割合は、2000年に80%だったが、2015年には60%へと減少している。
この書き方は問題ないです。
では、こういう書き方になると、どうでしょう。
【B】家族でそろって夕食を食べる家庭の割合は、2000年に80%だったが、2015年には20%も減っている。
【B】の書き方だと、2通りの解釈が考えられます。
1つは、【A】とまったく同じ意味です。
しかし、もう1つ、次のように解釈することができます。
・「80%という数字の2割分(つまり16%)下落した=64%になった」
【B】の表現は、厳密に言うと、むしろこちらの解釈が正しいとされます。
つまり、【B】の表に書いてしまうと、採点者にとって紛らわしいだけでなく、間違いだと判断される可能性もあります。
そこで、このケースでは、次のような言い方をすると良いです。
・家族でそろって夕食を食べる家庭の割合は2000年の80%だったが、2015年には20ポイントも減少した」
「ポイント」とは、2つのパーセンテージを比較した差を指します。
テレビのニュースなどで、「内閣支持率が前回の調査から5ポイント下落した」というような言い方を耳にしたことがあると思います。
あえて「ポイント」という表現を用いるのは、こうした誤解が生じないようにするためなのです。
まとめると、【A】のような書き方ならば問題なし。【B】のような表現で書く場合は「20ポイント下落した」という言い方をすると良いです。
このグラフ付きの問題は、大学入試で多用される出題形式です。「%」の扱い方で採点者に誤解を与えることのないよう、上記のポイントをしっかり頭に入れて本番に臨みましょう。
『落とされない小論文』では、このほか、小論文試験に一発合格する必要最低限の情報を、凝縮して伝えています。
ぜひ、直前対策に、そして基礎力の養成に、本書を使い倒してください。