初めて担当した従業員でも、タブレットを見れば、どのお客様でも対応できます。旅館業界は人手不足の課題もあり、高齢者や外国人の従業員でも「指1本」で業務ができることは大きなメリットになります。

 一方、前回お伝えした千葉ジェッツふなばしの事例と逆で、陣屋の場合、今までは分業していた意味のない作業をやめていきました。

 例えば、到着したときにお茶を出していましたが、これをコスト換算してみました。お客様が来られるタイミングを見越してお湯を沸かして、お茶を作って、という手間がある。そのわりにお客様はそれほど喜んでいるわけでもない。そういうものはなくすことにしました。

 あるいは、テクノロジーを使って、不要な業務をなくすことも目指しました。従来は、お客様が風呂に入っていることを確認するため、定期的に風呂場を従業員が確認しに行かないといけませんでした。そこで、風呂の入り口にセンサーを設置して陣屋コネクトに連携することで、IoTで風呂に入った人数をカウントすることにして、必要のある時だけ見に行けばよいという仕組みに変えました。

 そうした一つひとつの業務をテックの力を借りて改善し、働き方改革をしたのです。

 その上で、付加価値も向上させました。もともと皇室の方が宿泊するような歴史のある旅館ですから、高級路線を推し進めつつ、社員の働き方を全て見直しました。初めは週休2日にしたのですが、さらに3日に変えました。

 すると、今空きがある旅館が少ないため、休みの日に、映画やドラマの撮影に使わせてほしいといったオファーが増え、休みの日は撮影に使ってもらうことで、それが良い宣伝になって売り上げに貢献したという副次的な効果もありました。

 旅館の好調やウエディング事業の単価向上に加え、「陣屋コネクト」の外販も好調で、数百の旅館が陣屋コネクトを導入。休みを増やしたにもかかわらず、給与を下げずに、売り上げは3倍ほどになり、利益も上げることができるようになりました。