「このまま、今の会社にいて大丈夫なのか?」

ビジネスパーソンなら一度は頭をよぎるその不安に、11万部を突破したベストセラー『転職の思考法』で、鮮やかに答えを示した北野唯我氏による人気連載。今回のテーマは、「平成最後の就活」について。

「昭和を引きずった時代」としての平成

北野唯我(きたの・ゆいが)
兵庫県出身。神戸大学経営学部卒。新卒で博報堂、ボストンコンサルティンググループを経験し、2016年ワンキャリアに参画、最高戦略責任者。1987年生。デビュー作『転職の思考法』(ダイヤモンド社)は11万部。2作目『天才を殺す凡人』(日本経済新聞出版社)は発売3週間で5万部を突破中。レントヘッド代表取締役も兼務。

就活生の7割が「将来転職もありだと思う」と回答した調査レポートが出た。「転職も考慮にいれた就活」はこの一年でプラス10%と、さらに加速したようだ。
小泉進次郎氏らとともに「人生100年時代モデル」の構想づくりなどを手掛ける、高木新平氏は言った。

「平成とは、最後の最後まで昭和を引きずった時代だった。」

と。たしかに、今年は平成最後の就活となる。
しこの言葉が真実なら、いったい、平成とはなんだったのだろうか?

そして、これからの「仕事選び」はどう変わっていくのだろうか?

平成以前の仕事選びと、新時代の仕事選びは、端的にいうと3つの変化があると私は捉えている。

就活市場に押し寄せる3つの変化

キーワードは「多様化」「民主化」「分散化」だ。

これら3つのトレンドは、実は「仕事選び」に限らない。たとえば、1つ目の「多様化」は、LGBTや働き方など「多様性」という文脈で語られる。

あるいは、「民主化」ならテレビに対するYouTuberの台頭、「分散化」はブロックチェーン技術など、ビジネスフィールドでは「脱中央集権化」の文脈で語られることが多い。

(ここでいう「脱中央集権化」とは、一握りだけが情報や権力を持つのではなく、多くの人が自由に発信したり、取引をしたりできる世界を指す)

つまり、この3つは新時代のビジネストレンドに沿って行われていく、と言えるかもしれない。

1.(多様化)画一的な就活スタイルの限界

 — 終身雇用の崩壊・価値観の多様化にともない、就活スタイルも多様化を求められている。たとえば、「セカンドキャリアを前提として仕事を選ぶこと」、「長期インターン経由での勤務経験を通じた就職」などは一般的なものに。

2.(民主化)企業中心の情報戦

 — 食の領域で広告からクチコミサイトが主流になったように、「企業中心の情報戦」は終わり、「信頼性の高いクチコミ」「データ」による就活が主流に。

3.(分散化)一極集中による格差

 — 就活は「情報戦」「コネの勝負」とも呼ばれ、先輩後輩の繋がりは就活生にとって大きなアドバンテージだった。しかし、インターネットの発展により「いつでも、どこでも、誰でも」均等に情報を得られる流れが主流に。

トヨタですら推薦した「最強の会社づくり」

先日、トヨタが社内での講演内容を一般公開したことで話題になった。その中で豊田章男氏はこう語っている。

「トヨタの看板がなくても、外で勝負できるプロを目指してください」

「みなさんは、自分のために、自分を磨き続けてください」

「それでもトヨタで働きたいと、心から思ってもらえる環境を作り上げていく」

まさか豊田会長が『転職の思考法』を(転職前提で)読んだとは到底思えないが、本著でも実はまったく同じメッセージを伝えている。それは

「いつでも転職できるような人間が、それでも転職しない会社。それが最強だ」

と。

つまり、きちんと各人が独立独歩した上でそれでも「その会社にいたい」と思えるような魅力的な会社こそが強い。こういうことを指している。これが今の時代にあった組織なのだ。

もちろん、「これは理想論だ!」という人もいるだろう。特に私自身も経営する立場だからこそ、これを実現する大変さは痛感している。

だが、日本を代表するリーディングカンパニーですら、「転職を前提とした組織づくりを進める」のだから、我々は皆、一考の価値があるのではないだろうか。

仕事選びで、もう嘘はつけない

仕事選びはいま、明らかに「透明化」の流れにある。転職を前提とした学生たちは「その会社の実態」を見極めるツールももっている。

たとえば、学生の多くはVorkersなどの口コミサイトで「現役社員、元社員の声」を事前に調べて就職の際に参考にする。

あるいは、先輩が書いたエントリーシートや、昨年行われた面接内容、「その説明会に参加して本当に価値があったのかどうか?」などは事前に確認することができる。(参考URL→
https://www.onecareer.jp/lp/es_kokaichu/

筆者が務める会社の説明会に実際に参加した学生からの生のクチコミ
筆者が務める会社の説明会に実際に参加した学生からの生のクチコミ

これらクチコミが従来の2ちゃんねるやネット口コミ掲示板と違うのはその「半実名性」にある。半実名性とは、

・データベース側では、きちんとした個人情報を取得した上で

・UX上は匿名を担保した状態で公開される

状態を指す。これによってクチコミにガバナンスが効き、一方でユーザーは安心して本音を投稿できる。つまり「信頼性を担保した、生のクチコミ」を集めることができるのだ。

いま、平成が終わろうとしている。求められているのは「企業は、社員に何を約束するのか」という問いへの変化だ。その際最もダメなことは「約束したことと現実に嘘や偽り」があることだ。

「平成までの仕事選びとはなんだったのか?」

「何がこれから変わろうとしているのか?」

その答えとは、嘘や偽りが暴かれ、「仕事選びに透明性がもたらされる時代」なのだと思う。