また、最初の就職がたまたま自動車の営業だと、そのまま一生自動車の営業に従事する可能性が高い。もしかすると、経理や人事に配属されれば突出した才能が開花するかもしれないのに、そうしたチャンスは与えられないのだ。これもまたもったいないことだ。

新卒一括採用は
日本人向き

 医学の話であるが、日本人は不安を感じる遺伝子(SS型セロトニントランスポーター遺伝子)を持っている割合が高いそうだ。災害が多い日本列島では、不安を感じてリスクを避ける人の方が生き残る確率が高かった、ということなのかもしれない。

 まして、米国人との比較でいえば、「一獲千金を目指し、わざわざ大西洋を渡って先住民族と戦った人々の子孫」とは遺伝子が違うのは当然だろう。そうであれば、日本がグローバルスタンダードの旗印を立てて米国的なシステムを採用するのは合理的ではない。

 米国とは異なり、新卒で一括採用され、終身雇用でずっと同じ会社に勤めるというのは日本人に向いていると思われる。「終身雇用を保証するから、生涯所得の期待値は米国企業より低くても我慢してくれ」というのが、企業にとっても労働者にとっても合理的だからだ。

 日本人労働者が安心するというのは、財布のひもが緩むということでもある。心配性の日本人労働者が「終身雇用ではないので、いつ失業するかわからない」という状況に置かれたら、仮に高給を得ていても消費せずに貯蓄するので景気は常に悪いままになってしまう。

 もう1つ、終身雇用制が日本人に向いている理由がある。日本人は真面目だし、恥の文化があるので、終身雇用でも手抜きをしないということだ。外国で終身雇用制が採用されたら、「真面目に働かなくても解雇されない。うまくすれば働かずに給料がもらえる“窓際族”という最高のポストが手に入るかもしれない」と考えるサラリーマンが多数出てくる可能性がある。