新興企業へのリスクマネー提供をいかにして強めるか

 これまで述べてきたとおり、日本の新興企業の資金調達環境は、決して恵まれたものとは言えません。未上場企業へのリスクマネー提供が少ないことがしばしば議論の的になりますが、上場している新興企業にとってもなかなかに厳しいものです。政府の成長戦略である「未来投資戦略2018」では、イノベーション創出の一環としてベンチャー支援の強化が謳われていますが、これは決して未上場企業に限られた話ではなく、「第四次産業革命に向けたリスクマネー供給に関する研究会」でも議論されたとおり、未上場から上場後までをも包含した、スタートアップ育成のための繋ぐエコシステム全体の強化に他なりません。

 未上場企業への投資環境の整備に合わせて、新興市場の課題にも目を向け、専門的な審美眼を持った長期投資家が有望企業にリスクマネーを提供しやすくなるような環境を整備していくことは、新興企業が世の中に大きなインパクトを与える企業へと成長するプロセスにおいて不可欠なことであると、筆者は考える次第です。

*本記事はsignifiant styleに2/22掲載した内容です。