チャレンジする子の梯子を外してはいけない!

部活を頑張った人ほど成功する?<br />成長を左右する「非認知能力」とは本荘修二(ほんじょう・しゅうじ)
東京大学工学部卒業。ペンシルベニア大学ウォートン経営学修士、早稲田大学博士(学術)
本荘事務所代表として、新事業を中心に、イノベーションやマーケティング、IT関連などの経営コンサルティングを手がける。日米の大企業、ベンチャー企業、投資会社などのアドバイザーや社外役員を務める。500 Startupsのアドバイザーほか、Alchemist Accelerator、Founder Institute、Spark!、福岡県他のメンターを務め、起業家育成、コミュニティづくりに取り組む。多摩大学大学院情報学研究科(MBA)客員教授。

本荘 一人ひとりがリーダーシップを発揮するには、「失敗しても大丈夫」という安心感や自信も必要な気がします。

 そう、自己肯定感は大切ですね。本校でもことあるごとに「チャレンジは大事」と呼びかけ、チャレンジの結果の失敗は「いい失敗」と分類しています。チャレンジには失敗がつきものです。チャレンジしている子の梯子を一回でも外したら二度と挑戦しなくなってしまいます。

あるときから、体育祭を東京体育館でやることになったんですが、初回は、要領がわからず、時間が足りなくなり、いくつかの種目がカットになってしまったんですね。実行委員の長は責任を感じて号泣していました。でも、この経験のおかげで翌年はうまくいき、同じ会場で見事、最後のプログラムまでやり遂げることができました。

閉会の挨拶のとき、「今年は本当にうまくいったね。誰のおかげかな」って私が言ったら、生徒たちは去年、実行委員を務めた高3の子たちのほうを向いて、いっせいに拍手を送ってくれました。あのとき、昨年失敗した生徒達は、「チャレンジとは失敗をともなうものなんだ、でも挑戦し、失敗する人こそがチームに貢献するんだ」と学んだはずです。本校では、「失敗はチャレンジの結果で後輩への貢献」と言っています。

本荘 人は失敗を受け入れあえる場所で成長するんでしょうね。本書にもこんなくだりがあります。

自分は不完全だと認めた私は、さまざまなものを得た。
まず仲間を取り戻した。彼らと共に、苦労しながらスチューデント・メイドを育ててきた。私たちはこの場所を守り、この場所のために戦う。ここで自信を身につけ、自分の問題を自分で解決することを学ぶ。難しい問題と向き合うことも、自分の意見を言うことも、助けることも、恐れる必要はない。
互いに応援して、互いの貢献を認める。自分は大切にされている、支えられていると感じ、自分らしくいられる。より良いリーダーになることを、共に学ぶ。それがスチューデント・メイドという場所だ。(『離職率75%、低賃金の仕事なのに才能ある若者が殺到する奇跡の会社』P349)

 生徒たちには「最初に挑戦する人はとにかく大変。風当たりも強いし、玉砕するかもしれない。それでも“最初にやる人”になってほしい。そして、つらいときは、いつでもここに戻ってきてね。自慢話も口も言える。母校は第二の実家」といっています。

本荘 卒業生からたくさんのクリステン・ハディードが生まれてきそうですね!アントレプレナーシップをもった元気な日本の女の子が増えるよう、応援しています。