下図をご覧いただきたい。上に航空会社のロゴ、下に航空機メーカーごとの機体を掲載している。
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私たちは、飛行機に乗って国内各地や海外に行くとき、一部の航空機マニアを除けば、基本的に航空機メーカーではなく航空会社で選んでいる。日本航空や全日空が好きだから選ぶのであって、実際に乗る航空機がエアバスA380だろうが、ボーイング787だろうが、あまり気にしない。逆に、A380に乗りたいから日本航空や全日空を選ぶという人はいない。競争の舞台は上側のレイヤーになる。
しかし自動車業界は逆だ。トヨタが好きだから、トヨタであればどんな車でも構わないという人はいない。レクサスに乗りたい、日産のGT-Rに乗りたい、アストンマーティン(ASTON MARTIN)のDB11に乗りたいという好みで車を選ぶ。競争が行われているのは、下側のレイヤーだ。
しかし、これからは上側のレイヤーで競争が起こるようになるかもしれない。その起爆剤となったのがウーバーテクノロジーズである。
カーシェアリングを展開するウーバーテクノロジーズは、自動車メーカーではない、まったく新しいプレイヤーだ。ウーバーに配車を依頼するとき、多くの人は車種を細かく指定したりしない。せいぜい、ウーバープレミアムだと高級車が来たり、ウーバーエコノミーだと小型車が来たりする程度だろう。
これは、いわゆる事業立地の問題で、いままでの事業立地だけを見てビジネスを考えていると競争に勝てなくなる。いままでは考えてもいなかった事業立地を、頭の片隅に置いておかなければならない。