(5)の売上数量を増やす工夫も、セット販売や割引販売など販売方法しだいではいろいろあると思います。次の項で説明するラーメン屋さんであれば、ラーメンの上にのせるトッピングを増やしたり、餃子やシュウマイなどの追加の単品をメニュー化して、適切な価格で美味しければ売上数量は確実に増えます。

 究極は、固定費をゼロに近づけ、多くの費用を変動費化して、変動費比率を低くできればよいわけです。

 こう考えると、真っ先に思い浮かぶのは「人件費の変動費化」です。

 パート・アルバイトを多用するとか業務自体をアウトソーシング(外部委託)するのは、よく用いられる方法です。一方、生活を長期的に守らなければいけないので正社員の給与手当・社会保険料等の変動費化は難しいですが、本来、人件費のなかで何よりも変動費化すべきものは役員報酬だと思います。

 社員には実力主義による成果配分を説いておきながら、経営者自らの報酬支払い基準が論理的ではない「固定報酬」ではいけません。役員報酬をすべて毎月の売上高比例給与にできればよいのですが、税務上の取り扱いがあってダメです。

 税法上は、利益操作に使われるのを防止する意味で、役員報酬を毎月一定の固定費と見なしていて、変動して飛び出した部分については役員賞与認定され利益に加算される、つまり有税になってしまいます(一定の条件を満たせば無税の場合もありますが、限定的です)。法制度が変わればよいのですが、難しそうです。

ラーメン店は1日何杯販売すると儲かるのか?

 仕事柄、どの飲食店に食事に入っても、「このお店はどのくらいの売上なのか」「お客はいったい何回転ぐらいするのだろうか」「儲かっているか」などと、ついつい考えてしまいます。お酒が入ると、そのうち忘れてしまいますが…。

 さてここで、身近な例として、ラーメン店の損益分岐点について考えてみましょう。

 飲食業のなかでラーメン店は比較的開業しやすいですが、店舗数も多く激しい競争をしています。他店との差別化を図って、リピーターを増やし、繁盛店になるように努力をし続けなければなりません。

 今、仮に月坪売上(1坪当たり月次売上高のこと)が16万円、店舗面積は15坪で、全部で25席あるとします。