「人手不足対策」に組み込まれて
「途上国への技術移転」から変質

 だが、もともと技能実習制度は、日本で学んだ技能や技術を母国に持ち帰ってもらうことで、途上国の産業育成などを支援する国際貢献、国際協力が目的の制度だ。

「技術習得」を名目に、実習生に違法な長時間労働を強いる事業者が後を絶たないこともあって、技能実習法(17年11月1日施行)の第1条で、技能実習が「人材育成を通じた開発途上地域等への技能、技術又は知識の移転による国際協力を推進することを目的とする」制度であると確認されたばかりである。

 だが、今回の入管法改正を機に、技能実習生が新制度「特定技能1号」にそのままスライドするようなことになれば、それは本来の技能実習制度の名目を放棄することになる。

新制度に対応するように
技能実習の対象業種拡大

 現実に、新制度が具体化すればするほど技能実習生が「特定技能1号」に移行することが想定されている。

 今年2月に法務省が公表した「特定技能1号における分野と技能実習2号移行対象職種との関係性について」という一覧表を見ても、それは明らかだ。

 新制度は、「単純」労働者を受け入れるのではなく、「即戦力」となる外国人を受け入れるのが目的とされており、「特定技能1号」の在留資格を得るには、日本語試験と分野別の技能試験に合格することが求められている。

 一方で、上記のように技能実習制度の「技能実習2号」(技能実習3年間)を「良好」に修了した者は、これらの試験を免除される。

 そのため、「技能実習2号」の対象職種と、新制度の特定技能の対象職種が合致すればするほど、技能実習を終えた者が「特定技能1号」にスライドしていけることになる。

 現在、「技能実習2号」の対象職種は、農漁業や製造業等80職種144作業(19年3月時点)にまで拡大しており、その中で繊維・縫製業を除く多くの職種が新制度の「特定技能1号」に対応している。

 改正入管法案が国会で審議入りする頃には、途上国への技術移転を目的とする技能実習制度と、日本の人手不足に対応するための「特定技能」の新制度は全く別だと、政府は説明していた。この2つを並べて比べるようなこともしていなかった。

 だが、施行を前にふたを開けてみれば、多くの対象職種が重なり、多くの職種で、技能実習生が、実習修了後、母国に日本で習得した技術を移転することなく、「特定技能1号」に移行し、日本で働くという状況に事実上、組み込まれてしまう可能性がある。