いよいよ17日にギリシャの再選挙が行われる。財政緊縮路線を堅持するか、さもなくばユーロを離脱するか、選択肢は狭まりつつあるが、結論の先延ばしもありうる。選挙後の政策的アクションとその影響について検討する。
小康から危機再燃へ
これまでの経緯
ギリシャの再選挙が6月17日(日)に迫るなか、スペインでは金融不安が深刻化し、同国政府はユーロ圏各国に近々、対象を銀行部門向けに限定した1000億ユーロ規模の支援を仰ぐ運びとなっている。欧州債務危機が再燃し、深刻化しているのだ。
本年3月には、ギリシャに対する1300億ユーロ規模の追加支援決定に合わせ、ギリシャの債務元本の53%をカットする、PSI(民間部門関与)の枠組みが合意され、実行に移された。さらに、これに応じなかった債権者に対しても、「集団行動条項」の行使により債務カットが強行された。これは、先進国による戦後初のデフォルト事例である。
ギリシャのソブリンCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)取引上も、権利の行使条件を定めたトリガーに抵触したものとして扱われることになり、4月入り後、取引当事者間での取引の清算が行われた。多額の損失が表面化したJPモルガンのようなケースもみられたものの、国際金融市場全体としては大きな波乱はなく、おおむね無事にこれを乗り切った。
このように、4月頃までは小康状態となっていたものが、5月6日のギリシャ総選挙において、財政緊縮を推進してきた与党側が大敗したことを契機に危機が再燃し、緊迫の度を増す展開となっている。3月に合意されたEUとIMFによる追加支援は、6月末までにギリシャ側が緊縮策を具体化させることが条件であるが、まだ実行されていない。