親としては、自分が知らない会社であっても、また、IT系をはじめ自分ではよく分からない業種であっても、就業環境が良く、成長性や安定性があれば、その会社への我が子の入社を認める心理が働くのだ。これを「親心」と呼ぶかどうかは別として、意外に柔軟な親が多いように思われる。「親心」は、子どもが就職先に迷っているとき、「本人に決断させる」とする親が59.9%と、全体の6割近いところにも表れている。「親子の話し合いで決める」という親も33.1%いる。

 自分(親)の就職先を決めた際には、「親に相談したうえで決めた」のは15.8%しかいないことと併せ、以前と比べて、親子の関係が強まっているのは確かなようだ。

「就職」は、昔もいまも
社会への登竜門になっている

「就職」とは、つまるところ、社会に出て働き始めるということである。

 そして、いまは企業を取り巻く経営環境や社会そのもののあり方が急速に変化している。その中で、30年40年と同じ会社に勤め、同じ業務をずっと続けるということは考えにくい。そういう意味では、かつての終身雇用の時代に比べて、人生における「就活」の需要性は実は低下しているのだ。

 一方、以前から言われていることだが、最初に入る会社・職場・組織によって、仕事やキャリアに対する意識と価値観は大きく変わってくる。新卒はまっさらな状態で入るので、その影響を強く受けるからだ。そうした意味で、新卒での就職が持つ重みは、今後も、決して軽視することはできないだろう。