実のところ、これは大学生の企業選択のポイントとも重なっており、男子の方が企業選択のポイントとして「安定している会社」をあげる割合が高く、女子は「自分のやりたい仕事(職種)ができる会社」をあげる割合の方が高い。

 親子の間で就職に対する意識が共鳴し、それが希望業種にも反映しているように見える。

「安定性」よりも
気になるのは「就業環境」

 さらに、『息子娘を入れたい会社 2019』アンケート調査から、親の意識を見ていこう。

 子の就職に対する関心の高まりには、当然、親としての希望が入ってくる。

 子どもの就職で気になる点について最も多いのは、「就業環境」で63.3%となっている。続いて、「安定性」57.4%、「収入」46.4%、「成長性」46.2%などが上位に並ぶ。

「安定性」が高いのは当然としても、「就業環境」がトップに来ているのは、近年のブラック企業を巡るさまざまな報道の影響があるのだろう。

 2016年に発覚した広告代理店・女性社員の過労自殺問題は、最終的には社長交代にまで至り、社会全体に大きなインパクトを与えたのは記憶に新しい。大手有名企業においても、長時間労働やパワハラやセクハラは、決して無関係ではなく、それが就業環境に対する親の意識にも表れているのだ。

知名度や業種について
親はさほど気にしていない

 ただ、親が自分の就職先を決めたうえで重要視した点と比較すると、意外な親の本音が見えてくる。

 自分(親)が就職先を決めたときよりも重要視しているのは、やはり「就業環境」(+39.7ポイント)。そのほか、「成長性」(+17.4ポイント)、「福利厚生」(+15.9ポイント)、「安定性」(+15.6ポイント)などが上位に並ぶ(図表4)。

 逆に、自分が就職先を決めたときと比べて気にしていないのが、「知名度」(マイナス17.7ポイント)や「業種(業務内容)」(マイナス16.4ポイント)だ。親は、会社が有名かどうか、業種がどこかといったことについては、自分が就職したときよりも気にしていないという結果が出ている。