「少子化対策」は
欧州より20年遅れている

 女性にかかわる政策では、「子育て問題」もある。自民党の旧態依然たる地方の集票重視によって、都市部で緊急の対応が必要な「待機児童問題」よりも「幼児教育無償化」が優先されてしまったことは、前回論じた通りだ(第209回・P.4)。

「少子化問題」に対しても有効な対策が打たれてこなかった。これも、海外と比べると20年以上遅れているといえる。フランス、スウェーデンなど欧州でも、1990年代に出生率は1.5~6%台に下がっていた。だが、現在では出生率を2%台に回復させることに成功しているからだ。欧州では「シングルマザー・シングルファザー」を認める社会にしたことで、出生率が上昇し、少子化の克服につながったのである。

 例えば、フランスの場合、1999年に事実婚のカップルに対して、税控除や社会保障などは結婚に準じる権利を付与するパックス婚の制度が制定された。結婚の形態の多様化に合わせた柔軟な制度設計にすることで、子どもを産みやすい社会にしてきたのだ。

 これに対して、日本では祖父母・夫婦・子どもが同居する「標準家族」にこだわってきた。これに自民党的な地方への利益誘導という発想が重なると、「三世代住宅を建てると補助金が支給される」などという、日本社会の現実と乖離した珍妙な政策が出てきたりする。

 未婚の母など結婚していない母親から出生した「婚外子」の割合が、スウェーデンでは54.7%、フランスでも52.6%だが、日本では、わずか2.1%に過ぎない。これは、家族形態・価値観の多様化という現実を積極的に認めたほうが、「少子化」の克服につながるということを示している。だが、日本がそんな価値観を受け入れるまでに、あとどれくらい時間が必要なのだろうか。

「改正入管法」も遅すぎて中途半端
外国人単純労働者は日本を選ばない

 そして、単純労働分野での外国人労働者の受け入れを認める「改正出入国管理法」である。これは、日本の入国管理政策を大転換させるだけでなく、社会そのものを大きく変える可能性がある大改革だ。それを安倍政権は、国会での審議を衆参合計わずか38時間で終わらせ、新しい制度の詳細な設計は、関係省庁で法律成立後に行い、国会審議が必要ない「政省令」として定めるという、強引極まりない手法で通した。