ほかの先進国に比べて
ダントツに多い歩行者の死亡事故

 国際道路交通事故データベース(IRTAD)によると、30ヵ国の人口10万人当たりの死者数では、日本は3.8人(2015年)と10番目に少ない。ノルウェー(1位)やスウェーデン(2位)、英国(3位)などには及ばないものの、先進国水準といえる。

 しかし、この犠牲者たちがどのように亡くなったのかという「状態別交通事故死者数」というデータを見ると、その評価はまったく変わってくる。

 クルマに乗っている時に亡くなる「乗用車乗車中」は、死者数の少ないスウェーデンで55.6%。フランスや英国、ドイツなどもだいたい50%くらいとなっているのだが、なんと日本の場合は、それらの半分以下の21.4%に過ぎないのだ。

「見たか!これが世界に誇るメイドインジャパンの安全技術なんだよ!」と、どっかのテレビ番組のように大ハシャギしてしまう方もいるかもしれないが、実はこの低い割合は、日本のクルマが素晴らしいからだけではない。

 別のシチュエーションの死亡率がダントツに高いのだ。もうお分かりだろう、「歩行者」だ。

 日本で歩行中に事故に巻き込まれて亡くなったのは37.3%。これがいかに「異常」なことなのかということは、他の先進国の割合を見ればわかる。スウェーデンは10.8%、ドイツは15.5%、英国でも23.7%なのだ。

 このデータからもわかるように、道路がしっかりと整備され、歩行者の安全も確保されているような先進国の場合、自動車事故とはハンドルを握るドライバーや同乗者が亡くなるのが一般的だ。

 しかし、日本ではどういうわけかそうなっておらず、自動車事故というと、人を跳ね殺す、轢き殺すというパターンがメジャーになっている。なぜかというと、クルマに乗る人の安全確保や、自動車道路の整備ばかりが注力され、歩行者の安全対策がないがしろにされてきたから。要するに、「歩行者軽視」という悪習が続いてきたのだ。