教員採用試験・公務員試験シーズンが本格化。本記事では、元NHKアナウンサーで、現在「6刷」2万8000部超のベストセラー『全試験対応!直前でも一発合格! 落とされない小論文』の著者、「ウェブ小論文塾」代表・今道琢也氏が、小論文試験で克服すべき3つのポイントをお伝えします。(構成:編集部 今野良介)

公務員・教採試験受験者に共通する小論文「3つの問題点」

公務員・教員採用試験では、ほぼ例外なく小論文試験が課せられています。

しかし、小論文を苦手としている受験者は多いようです。以前、「小論文が原因で3年連続教員試験に落ちた」という方から、相談を受けたことがあります。

この方の答案を拝見したところ、公務員、教員試験どちらの受験者も陥りやすい3つの問題点があったので、順に紹介します。

 

3年連続教員試験に落ちた人が<br />翌年あっさり合格した<br />小論文の書き方「3つのポイント」受験者が陥りやすい3つの問題点

 

問題点[1] 出題の意味が正確に理解できていない

たとえば教員採用試験では「子どもたちの自己肯定感をはぐくむためにどう取り組むべきか」「児童生徒の規範意識を育てるためにはどうすべきか」といったタイプの出題が多く出されます。このとき、「自己肯定感」「規範意識」といったキーワードとなる言葉の意味を正確に押さえないままに書くと、決して合格答案は書けません

公務員試験でも「行政として取り組むべきことを述べよ」という指示があるのに、その点を見落として民間が取り組むべきことを書いてしまう、といった例は良くあります。この点を改善するように指導しました。

問題点[2] 答案の字数配分が不適切

先の「子どもたちの自己肯定感をはぐくむためにどう取り組むべきか」という出題の場合、「取り組みの中身」にこそ字数を割くべきです。この方の答案の場合、「自己肯定感がないとどんな問題が起きるか」というところに長々と字数を割いて、取り組みの中身については半分以下の字数しか割いていませんでした。これではバランスが悪すぎます。

公務員試験でも「温暖化防止にどう取り組むか」「少子化問題にどう取り組むか」といった出題が良くありますが、事情は同じです。出題の意図を理解し、字数のバランスを改善するよう指導しました。

問題点[3] 具体的に書けていない

教員採用試験でよくある答案として「それぞれの子どもが持つ能力を引き出せるような指導をしたい」「子どもたちの思いに寄り添った指導をしたい」と書いただけで終わる人がいます。これだけでは、何をどう取り組むのかさっぱりわかりません。

「それぞれの子どもが持つ力を引き出せるような指導をしたい」というのなら、「そのために何をどうすればよいのか」、ということまで書く必要があります。

たとえば、

「音楽が得意な子どもには合唱の指揮を任せたり、書道が得意な子どもには書道展へ作品を出すことを勧めたりと、それぞれの子どもの得意なことを見極め、その能力が伸びていくような指導をしたい」

これくらい書いて初めて「ああ、そういうことか」読み手に伝わります。

公務員試験の場合であれば「住民との協働を積極的に進めていくべきだ」「市民の温暖化防止への意識を高めていくべきだ」といった解答で終わっている人が多いです。「そのためには何をどうすればよいのか?」まできちんと書かなければなりません。

 

この方に指導したのは、上記3つのポイントだけでしたが、これだけで格段に答案の質が改善し、後日「合格した」と連絡をいただきました。答案を書く上でのポイントが理解できれば、短期間でも合格水準に達することができるのです。

 


『落とされない小論文』では、18の頻出テーマの対策や、教員採用試験・公務員試験で活用できる、小論文試験に一発合格する必要最低限の情報を凝縮して伝えています。ぜひ、直前対策に、そして基礎力の養成に使い倒してください。