1982年に群馬に地盤を持つスーパーマーケットチェーン・いせや(現ベイシア)の衣料部門から独立して創業して以来、ワークマンは「職人の店」として建設現場の作業員など職人向けの衣類を中心に、売り上げを伸ばしてきた。PB商品を始めたきっかけは、09年のリーマンショックだ。景気の落ち込みによる買い控えに加えて、設備投資の急激な冷え込みで、建設業などワークマンの得意客たちの現場そのものがなくなってしまったのだ。

 ブルーカラーの労働者は年々減少傾向にあることもあり、危機感を募らせた経営陣は2010年にPB商品の開発を決めた。ワークマンプラスの立ち上げは、ブルーカラー減少への対応という、その延長線上にある。現在、売り上げに占めるPB商品の割合は4割に到達。かつての決断が今に生きている。

低価格にこだわり 今秋の消費増税は価格据え置き

 低価格へのこだわりは、前回の消費増税の時に痛い目を見た経験の反省があるからだ。「消費税が8%に上がった際、980円の商品を一気に1280円に値上げした。すると、売り上げが4割下がった。価格を元に戻したが、売り上げを立て直すのにもさらに苦労した」(北村さん)と振り返る。これに懲りたこともあり、今秋の消費増税時は価格を据え置く方針を掲げる。

ワークマンの空調服
ファンが着いたワークマンのPB商品「空調服」。現場作業員向けの商品を一般向けにした Photo by R.S.

 商品を作るときも、流行を追って大ヒット商品を狙うような作り方はしない。前年の売れ筋を元に、3万着などの小ロットでPB商品を作り、ヒットすれば、翌年30万着、100万着といった単位で大量に生産する。

 物流や原料などコストの上昇という課題は常に付きまとう。消費マインドの減退も悩みの種だ。それでも、すでにプロ向けに作っているPB商品の用途を広げていく仕掛けで、まだまだ需要の拡大は望める。例えば、レインウェアの製品群である「AEGIS(イージス)」というPBブランドは、バイク乗りや自転車乗りの間で人気が出た。そのため、絞った顧客層向けに機能を付け加えて進化させてきた経緯がある。既存商品をスポーツ向けにずらして売るというように、同じものを少しずつ進化させるのがワークマンのヒットの秘訣だ。

 「100万着売れる商品を一つ作るより、10万着売れる商品を10個作ることを目指しています。小さいヒットの積み重ね。ホームランは狙わない」(北村さん)

 堅実にニーズをとらえて商品開発を続けたことが、今の好調ぶりにつながっている。

>>続編『ワークマンの国内店舗数がユニクロ超え、FCオーナーに希望者殺到の理由』は5月30日(木)公開予定です。

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