「これから先」を見通せば
文系には厳しい時代の到来は必至

岩崎氏は、「これから文系はさらに厳しい時代を迎えそう」と予測する

 岩崎氏は、日本興業銀行を皮切りに、JPモルガン、メリルリンチ、リーマン・ブラザーズと投資銀行を渡り歩いてきた。そのなかで大規模案件や企業買収への融資のために、一貫して20~30年後の未来を予測してきたという。

「ディスカウントキャッシュフロー(DCF)法で企業価値を算出するのが私の仕事です。興銀では審査部に所属し、海外の資源開発プロジェクトへの融資を担当しました。資金の回収は何十年も先になるため、金融アナリストとして、『これから先』の世界を見通す訓練を積み重ねてきました」

 そんな岩崎氏の分析によれば、これから文系はさらに厳しい時代を迎えそうだ。人工知能やロボットの発達によって文系が就いている多くの職がなくなる可能性があるからだ。

「オックスフォード大学でAIの研究に携わるマイケル・オズボーン博士と野村総合研究所の2015年の共同研究では、10~20年後は日本の労働人口の49%が人工知能やロボットに代替される可能性があると調査結果が出ています。文部科学省の『学校基本調査』をもとに独自に調べたところ、文系の4分の3が代替の可能性が高い事務・販売・接客の職種に従事していました。工学部出身者は18%です。やはりAIの台頭で職を失う可能性は、文系のほうが高いと言わざるを得ません」

 現在は人手不足であるため、就活生にとっては売り手市場となっている。だが新卒一括採用が崩れ、日本でも通年採用が拡大すれば、文系学生への風当たりも強くなるかもしれない。

「新卒一括採用の恩恵にあずかっているのが文系学生です。専門性がなくても就職ができ、会社が育ててくれます。ですが、もう新人を一から育てる体力のある企業は少なくなってきている。そもそも新卒一括採用は戦時中の制度に端を発します。1941年12月8日に公布された『労務調整令』によって、国民学校の新卒者は国民職業指導所の紹介によらなければ就職できなくなりました。くしくもパール・ハーバーと同じ日に公布された制度に、今なお日本は縛られているのです」

 新卒一括採用、終身雇用制度が崩れていくなか、就活生はポテンシャルではなく、「何ができるか」「何を勉強してきたか」を問われるようになる。いわゆる「新卒カード」に意味がなくなる日が近づいているという。