ウーバーに大規模出資を決定したメーカーの思惑Photo:TOYOTA

出資の目的は
自動運転車両を使ったライドシェアの実現

 トヨタ、デンソー、ソフトバンクの3社は4月16日、「米・ウーバー・テクノロジーズの自動運転技術開発会社、アドバンスト・テクノロジーズ・グループ(ATG)に10億ドル(約1100億円)を出資する」と発表した。内訳はトヨタが4億ドル、ソフトバンク・グループの投資ファンド、ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)が3億3300万ドル、デンソーが2億6700万ドルとなる見通しだ。今年7~9月に出資を完了する予定。

 出資の目的は、自動運転車両を使ったライドシェアの実現にある。トヨタの車両技術、デンソーの車載ユニットおよび制御ソフトウエア技術、ウーバーATGが開発するAI(人工知能)を合体させるというウイン・ウインの関係構築である。トヨタは昨年8月にウーバー本体に5億ドルを出資。このときトヨタは、北米で販売しているミニバン、シエナにウーバーの自動運転AIを搭載し、自動運転配車用サービス車を開発する計画を明らかにしていた。トヨタは、今回の4億ドル出資とは別に「今後数年間で最大3億ドルの開発費を負担する用意がある」とも明らかにしている。この出資が現実になると、トヨタからウーバー・グループへの出資は合計12億ドルとなる。

 一方、ソフトバンク・グループはすでに昨年1月の時点でSVFを経由しウーバー株の約15%を77億ドルで取得している。また、米・GMの自動運転車部門、GMクルーズの株式20%を昨年5月に22億5000万ドル(当時のレートで約2475億円)で取得した。トヨタとソフトバンクは最近急接近しており、日本ではモネテクノロジーという交通サービス事業会社を共同で設立した。モネテクノロジーにはホンダも出資。ホンダはGMクルーズの株式を5.7%取得している。自動運転を軸にトヨタ、ホンダ、ソフトバンクが協力関係にある。