中国で急速に広まったライドシェア中国で急発展を遂げたネット予約車サービスは、結局「タクシーに戻った」Photo by Konatsu Himeda

日本人出張者も絶賛する
「滴滴出行」のサービスレベル

「滴滴出行のサービスは実に便利です。高級車ともなれば、高い料金を払う分、何時何分どこで、と約束通りにピタッと配車してくれるのです」

 日中を往復する日本人出張者は絶賛する。「滴滴出行(本社:北京市/以下、滴滴)」とは2012年設立のライドシェア大手企業だ。中国在住の日本人の間でも、このサービスはすっかり浸透している。

 滴滴というプラットフォーム企業が出現する遥か以前から、中国では自家用車で客を乗せて運ぶ“白タク”が静かに営業を始めていた。許認可された料金体系はなく、運転手と客との交渉で決める。メーターもないので、トラブルに遭っても自己責任だ。筆者も取材からの帰途、やむなく初乗車したときは「何かあっても乗った私が悪いんだ…」とリスク覚悟の上だった。しかし、車内は清潔で芳香剤も置かれており、ミネラルウォーターのサービスまであった。こうした個人営業による白タクは、主に空港や郊外への送迎で稼いでいた。

 2010年にアメリカでウーバーが出現したのに続き、2012年には中国で滴滴(*)がサービスを開始した。スマホアプリというテクノロジーと、シェアリングエコノミーという大義名分のおかげで、人知れず行われていた“個人的な金稼ぎ”も、「ネット予約車」という新たなカテゴリーの中で、組織だって運営されるようになった。

(*)2012年当時は「嘀嘀打車」、2014年に「滴滴打車」に名称を変更。さらに2015年に「滴滴出行」に社名変更をした。