2016年以降は
年々腰が引ける中国政府

 2016年がシェアリングエコノミー業界にとって1つの分岐点となったことは間違いない。同年、さらに各地で細則が定められ、業界の規範化が進められた。中国では毎年、政府が『中国シェアリングエコノミー発展報告』を発表するが、その報告書の内容も、年々トーンダウンを見せる。

 2015年の動向をまとめた『シェアリングエコノミー発展報告2016』は、「(シェアリングエコノミーは)中華民族の偉大な復興の中国の夢にとって重要な意義となる」と打ち出し、「中国のシェアリングエコノミーは独特のアドバンテージと有利な条件を持ち、スピーディで勢いもあり、すでに国家間の競争をリードするどころか、さらに多くの領域においてトップに立って発展する巨大潜在性を持っている」と、その書きぶりは大変力強いものがあった。

 だが、2016年の動向をまとめた2017版からは、国家がシェアリングエコノミー業界に対し慎重な態度に転じていることが読み取れる。同報告書の18ページには、「ネット予約車の発展的将来は非常に大きな不確定性がある」という文言すらあるのだ。報告書は次のように続く。

「近年、国家が発表する重要文書の多くが、シェアリングエコノミーを発展させねばならないと明らかにしているが、いくつかの政府部門と地方における具体的な政策を見ると、規制を強調するものが多く、発展を奨励するものは少ない。地方の細則を例にとっても、多くの都市が車両の標準、運転手の資質、プラットフォームの条件、申請の順序、保険の要求、相乗りの制限などにおいて、国の規定をさらに細かく規定している。都市によっては、運転手の戸籍、車両の軸間距離、排気量、客引き区域制限までも規定し、甚だしくシェアリングエコノミーの発展に背離する形となり、国家の許容するイノベーション政策から乖離することになっている」

 2016年は前述したように、『ネット予約車法』が発表され、ネット予約車に合法的地位を与えた年だったが、同時に、スピード成長するシェアリングエコノミー業界に対し、大きくブレーキを踏み込んだ年でもあった。

 実は、前年の2015年10月、政府は世間一般から「ネット予約車に対する意見」を募集している。仮に、『ネット予約車法』が民意を反映したものであるならば、ネット予約車に対する民衆の相当な不信感がうかがい知れよう。

 中国の公共経済の専門家も「これまでは、時間がある人なら誰でも運転手になれたが、あまりに低いハードルに市場が大きな抵抗を示した結果」だと語っている。2016年をターニングポイントに、「自家用車を配車させて荒稼ぎ」ができたモデルは過去のものになった。