3ステップで一生のスキルにする
90分間で、いったい何が起こったのか?
それは、「原則」→「実例」→「展開」の3ステップを踏んでもらっただけだ。
まずは「原則」。
拙著『最強のコピーライティングバイブル』は、マーケティングおよびコピーの3大名著を下敷きにしている。
とりわけ、そのうちの『ザ・コピーライティング』が、大きなハンデをものともせず、今なお大変なロングセラーを続けている。
ハンデというのは原典が1932年(87年前)と古い。本体価格は3200円、430ページ超と通常ビジネス書の2倍を超える厚さだ。
売れるビジネス書の条件は、「新しい」「安い」「サクッと読める」であることが多いが、これらとは真っ向から対極にある。
結果として、日本での発売も11年前ながら現在22刷に達し、その勢いはとどまりそうにない。大きなハンデを背負って、読み継がれているのは、現場で検証済の「原則」が大きな要因だ。
色褪せることのない「人を惹きつける原則」は、大きく4つある。
・得になる:読み手は常に「ベネフィット(得)」を求めている
・新情報:読み手は常に「新しい情報」を欲している
・好奇心:読み手は常に「好奇心✕得✕新情報」を求めている
・手っ取り早く簡単な方法:読み手は常に労せず「益」を求めている
(出典:横田伊佐男『最強のコピーライティングバイブル』p76)
「原則」は「実例」とともに紹介すると頭に入りやすい。
「得になる」「新情報」「好奇心」「簡単な方法」という4原則をソフトバンク、ベストセラー書籍タイトル、人気映画タイトル、ライザップCMなどの実例で紹介すると「なるほど」となりやすい。
その後は最も重要な「展開」だ。
先の講義では、谷地教授からひとつの依頼を受けていた。
それは、大学2年から始まるゼミの新規生徒募集のキャッチコピーを考えるというものだった。
谷地ゼミは、同大学経営学部で人気が高く狭き門だが、それは教授の戦略によるところが大きい。今年は、その任を学生に与え、そのキャッチコピーを学生自らに考えてもらうという発想だ。
学生たちが最も腐心していたのが、コピーを書く前の戦略。つまり「ターゲット」✕「提供価値」をどうするかという設定である。
「どんな学生(ターゲット)」に対し、「ゼミのいいところ(提供価値)」を考えるのが戦略である。
「どう言うか(コピー)より、何を(戦略)を言うか」が重要なのだ
どうにかこうにか苦労してコピーを考えた学生に向けて、最後に伝えたのは、このコピーライティングスキルは、学生である現在もこれから社会に入っても役立つことを伝えた。なぜなら、「言語化」は常に求められるスキルだからだ。
「言語化」が具体的に生きる場面は、2つある。
まず「人を集める」場面。
大学では、サークル勧誘、飲み会の人数合わせ、ゼミ募集など。社会に入っても人材採用など、「集客」の場面は常にあり、そんなところでスキルは大いに発揮できる。
もうひとつは「自分を売り込む」場面。
就活の面接前のレジュメ作成、面接時のプレゼンは、実社会に入っても必ず役立つ。
下図は伝える場面のマトリックスだが、相手の人数×手段において、それぞれ「原則」を自分ゴトに「展開」すれば、一生のスキルになる。
ここで紹介した法則・テクニック等について興味があれば、拙著『最強のコピーライティングバイブル』(ダイヤモンド社)を読んで、ひたすら真似てみてほしい。
「王道」を「近道」できるはずだ。
法則→事例→効果の3点を理解することで、すぐに現場で再現できることをお約束する。