「失言」はどうして生まれるのか?
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毎日のように続く「失言」のニュース。自民党が失言防止マニュアルをつくったり、丸山穂高議員が北方領土について「戦争」を絡めて発言したり。なぜ、失言はなくならないのか。心理面から探るとともに、企業やビジネスパーソンの心構えについて考えたい。(取材・文/フリーライター 有井太郎)

失言を生む心理モデル
深層にある本音が漏れる

 政治家の失言が止まらない。先日、丸山穂高議員は、国後島の元島民に「戦争で島を取り返すのは賛成ですか?反対ですか?」「戦争しないとどうしようもなくないですか?」といった発言をし、大きな批判を浴びた。

 彼は当時、野党である日本維新の会(その後、除名)に所属していた身。一方で、与党の自民党でも失言は止まらず、政権の悩みのタネになっている。先日、自民党で「失言防止マニュアル」が配られたと話題になったばかりだ。

 加えて、民間人の失言も多い。一例として、幻冬舎の社長である見城徹氏が、作家を揶揄(やゆ)するかたちで実売部数を公表し炎上。謝罪する事態となった。

 なぜ、人は失言をしてしまうのか。そして、なぜこれだけ失言が問題視されながら、またその上に失言を重ねるのだろうか。軽率な言動が生まれる原因はどこにあるのだろうか。

 このテーマに対し、1つの見方を提示するのが、カリフォルニア工科大学生物・生物工学部教授の下條信輔氏だ。知覚心理学や認知神経学といった領域を専門にする同氏は、自身の学問をベースにした“私見”として、失言が生まれるメカニズムをこう説明する。

「失言は、2つの心理モデルから生まれることが多いと考えています。1つ目は、心の深層にある“本音”が出てしまうモデル。失言した人の多くは、自分の役割や立場として適切でない本音が深層にあり、通常は役割意識の中で抑え込まれている。しかし、油断や何かしらのきっかけで、この本音が外に出てしまうケースです」