「ギャップイヤー」をはじめ
権利と自由を認める教育制度

 そのほか、教育に関する制度や慣習を紹介しましょう。

 日本だと高校を卒業するとすぐ大学に行くのが当たり前ですが、フィンランドではこの時期に、いわゆる「ギャップイヤー」をとることができます

「高校を卒業して兵役に行って、帰ってきてすぐ法律事務所でバイトを始めました。そこで、弁護士がどういう仕事をするのか間近で見られて。それまでは弁護士になろうか、エコノミストになろうか迷っていたけど、あ、弁護士は違うなって」
アルト・トゥルネンさん/フィンランド/「ノキア」勤務

 大学はすべて国立で、入学できる人数が限られているという事情もあるようですが、中学を卒業したあとに1年間ほど取る人もいるそう。人生を考える時間を、好きな時期に自由に取れるのは、私はすごくいいと思います。

 また、スウェーデンの学校では、小さな子どもは、まず権利についてを習うのだそう。そして、親もその権利を認めていて、子どもを尊重します。

「何をするにしても、『どうしたい?』と意見を聞いて選ばせる。独立した個人という感じで扱うんです。たとえば、子どもが学校のサイトに自分のページを持っていたりするんですが、それを親に見せるかどうかも子どもの意志。学校も親も強制できない、とか」
大森アービッドソン光佐子/スウェーデン/コーディネーター

 かつては、禁止されている携帯電話を学校に持ってきても、先生が取り上げることができない。そのくらい権利に関しては、しっかりしているのだとか。

 取材をしてみて意外だと思ったのは、年金制度がそれほど充実していないこと。定年になってからも一生安泰ということはなく、国に頼っていても全然足りないのだそうです。

 さて、こうした話を聞くと「北欧の国がうらやましい」と思うかもしれません。しかし、国の制度が変わるのをのんびり待っていても仕方ないでしょう。そこはやはり、自分で考えていかなければいけない話です。