ただ、消費者が決済アプリにお金をチャージする際、アプリを提供しているこれらのIT企業は、銀行やクレジットカード会社に一定の手数料を支払う必要がある。契約ごとに差があるものの、クレジットカード会社にはチャージ金額の2%弱、銀行にはチャージ1回当たり120円程度かかるという。

 LINEなどは本来、これを上回る手数料収入を得なければ採算が取れない。だが彼らは現状、自社サービスの利用範囲の拡大を優先するため、グループ全体の財務基盤を生かして、加盟店からの手数料を割り引いている。こうした構造は、いずれはキャッシュレス決済の普及を阻む要因となりうる。

 ローソン銀行は2018年8月に金融庁から銀行免許の交付を受けた。プリペイドカードアプリ「バンドルカード」を展開しているカンムの八巻渉社長は、「銀行間であれば、消費者がチャージした金額を一定量にまとめて、非常に低い手数料でやり取りすることが可能だ」と話す。

 消費者がアプリにチャージする際、ローソン銀行が既存の決済手段より低い手数料でチャージを請け負うことができれば、その分、加盟店手数料も安く抑えられるようになるというわけだ。

 竹増社長は新規事業の詳細について、「金融庁と最終調整中のため、詳しくはお話しできない」としつつも、「銀行免許がなければなかなかやりにくいサービスだ」とも述べた。「ローソン以外の企業にもサービスを使ってもらうことを目指す」とも語っており、将来普及すればキャッシュレス決済市場の拡大を加速させる可能性がある。

 7月には、国内コンビニ最大手のセブン-イレブンの店頭で同社グループ独自の決済サービス「7Pay」が、2位のファミリーマートでも独自の「FamiPay」が使えるようになる。ローソン銀行が自前のキャッシュレス決済サービスに乗り出すかどうかについて竹増社長は「今はやらない。今後の行く末を見て、ローソンとしての解を出す」と述べるにとどめた。

 セブングループのセブン銀行が銀行免許を交付されたのは2001年。当時は革新的だった「コンビニATM」というビジネスモデルを生み出した。それから17年を経たローソンの銀行への免許交付に対しては、「今さらなぜという感じだ」(あるメガバンク首脳)といった見方が多かった。
 
 ローソン銀行の今回の新規事業が軌道に乗れば、「セブン銀の猿真似」という業界の批判をかわす一手になるだろう。ただ、新規事業の魅力が他社よりも低い決済手数料という価格勝負になってしまえば、高収益は見込めそうもない。銀行やカード会社などの金融機関が手数料を引き下げれば、消耗戦に陥る可能性すらある。

 キャッシュレス決済の拡大という新たな局面の中で、ローソン銀行は新機軸を打ち出せるだろうか。